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: 常田side ページ16

車を運転しながら、Aちゃんの話を聞いた。
そろそろスタジオに着く頃、彼女は俺に”モテるでしょう”だの”顔がかっこいい”だの伝えてきた。

挙句の果てには”思わせぶり”だと。



「(思わせぶりはどっちだっつうの)」



そんな気持ちとともに大人気なく車を降りて焦る彼女に知らないフリをして先へ先へと歩いた。



「大希さん!嫌な事言っちゃいました?」



そう言って焦って俺を小走りで追いかけてくるAちゃん。エレベーターに乗ってようやく俺の隣へ追いつくと、俺の顔を心配そうに見つめて目を離さなかった。

そんな、いつも俺の調子を伺うAちゃんが愛おしくて仕方なかった。



「Aちゃん」


「...?はい、?」


「Aちゃんにとって俺はどういう存在?」


走ってきたせいか少し乱れた彼女の髪を耳にかけてやる。そんな事をしたって彼女は少しも変わった様子を見せない。

余裕がなくてつい柄にも無いことを、彼女に聞いてしまった。



「大希さんは...、


...1番大好きで尊敬してる先輩です」




これだけ持て囃しておいて、まだ”先輩”なんて言うんだから思わせぶりはどう考えたってAちゃんだ。



「そっか。そりゃ良かったわ」


「な、こんな恥ずかしいこと言わせたのにそれだけですか?」



もう、と拗ねた表情の彼女を見ていたら思わず顔がにやけて隠すように空いたエレベーターの扉からすぐに出た。



*



彼女と出会ったのは1年と半年ほど前。

いつものクリエイターと打ち合わせをしていた時、デザイン案のフォルダの中にピースをした女性と打ち合わせをしているクリエイター本人が並んでいる写真が出てきた。



「あれ、ごめん。ミスって入ってたみたいだわ」


「これ誰?」


「Aちゃんって言って、結構俺が今推してるアーティスト」


「へえ、この絵描いたのもこの子?」


「そうそう...中々良いっしょ」



デザイン案のフォルダは閉じられ、Aちゃんの作品の写真が次々へスライドされていく。世間に評価されるかは分からないが、どれも俺好みの作品ばかりだった。



「この子の絵、欲しいかも」


「...マジ?」


「マジ。次の打ち合わせ呼べたら呼んでほしい」




そんなこんなで翌週の打ち合わせで彼女が初めて俺の前へやってきた。




「初めまして」


「はじめまして、常田大希です」


「......」


「......」


「あの、要件は?」



彼女の初めて見る顔は、迷惑だとでも言うような顔だった。

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(プロフ) - 更新頑張ってください^_^ 応援してます٩(^‿^)۶ (2月5日 2時) (レス) @page12 id: 17ec247796 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なーご | 作成日時:2024年1月30日 4時

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