ただの噂 ページ7
「約束やで。」
覚えてるのはそう言って自分の小指と、私の小指を絡ませて無邪気に笑う初兎の顔だけ。
一番大切な、約束の内容を覚えていない。
「ねぇ知ってる？夜中にあそこの公園に行ったら、男子高校生の幽霊が出るんだって〜。」
「え〜、何それ〜！こっわーい！」
男子高校生の幽霊。あそこの公園。初兎が死んだあの日。
夜中、あそこの公園に行ったら初兎に会える...？
そんな考えが、私の頭を渦巻いた。
気が付いたら授業は終わっていて、楽しそうに話す生徒の声が教室に響いていた。
今度あそこのカフェに行こう、だとか。テストヤバいかも〜、だとか。聞こえてくる話は様々だった。
私も、数日前まではあんな感じだったのになぁ。
考えても仕方ないか。初兎は私を庇って死んだんだもんね。
ひょいと鞄を持ち、校門まで歩く。
朝みたいに、校門で初兎が待ってくれたりして。
そんな私の淡い期待は、少し早くなった夕暮れに吸い込まれていった。
とぼとぼ歩いていると、いつの間にか家に着いていた。
夜中、っていつぐらいだろう。やっぱり丑三つ時とかかな？
家に着いても尚、男子高校生の幽霊のことで頭がいっぱいだった。
もし初兎に会えたら何を話そうか。
それからは普通にご飯を食べて、歯を磨いた。
あとは丑三つ時になるのを待つだけ。
私は自室でボーッと空を眺めながら丑三つ時になるのを待った。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
午前1時53分。
もうそろそろ家を出るか。そう思い、上からパーカーを羽織る。
靴を履いて、家族にバレないようにこっそりと家を出る。
『初兎っ！』
それから私は何かに弾き飛ばされたかのような勢いで走った。
ただひたすらに、走って、走って、走り続けた。
『しょ、う...。』
夜中の公園で、そう声を掛けてみる。
乱れた息を整えて、もう一度初兎の名前を呼ぶ。
だけど、返事はなかった。
所詮ただの噂。期待してた自分がバカみたい。
ごしごしと目を擦って、ベンチに腰をかける。
そして空を見上げてみる。
空には無数の星が輝いていた。
『私も、星になれたらいいのに。』
誰にも届かない言葉を吐き、ベンチから立ち上がる。
帰らないと、家族にバレたら面倒くさいから。
『もう一回言っておく。私は、初兎なんか大っ嫌いだから！』
「...そっか。」
寂しそうに呟く声が微かに聞こえた気がした。
けど、私は後ろを振り返らずに真っ直ぐ歩いた。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
