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No,1 ページ18

″END″の続きから

___________________________

初兎は私のことを放って、何処かに消えたんだ。


ずっと、ずっと解かってた。

初兎が死ぬ間際に発した言葉も、なんで初兎が私を庇って死んだのかも。


私は靴紐が解けるのも、周りの視線も気にせずにただひたすらに走った。

息が切れて、次第に足が重くなる。それでも尚、走り続けた。


やっとの思いでたどり着いた公園は、人気がなかった。

でも、きっと初兎は聞いてくれているから。

口を開きかけた時、後ろから大好きな声が聞こえた。


「A、」

『え、初兎...?』


後ろを振り返れば、あの日と変わらない初兎が立っていた。

初兎はどこか悲しげな表情で、じっと私を見つめた。


「ごめん....、ごめんな。」


震える声で必死に謝り続ける初兎。

正直なにが起こっているのか理解ができない。


「助けられんくて、ごめんな....っ。」


泣きながら初兎はそう言った。

あぁ、やっと解った。


あの日、トラックに轢かれたのは初兎じゃなくて、


『私、だったんだね。』


そっと目を閉じれば、轢かれた時の様子が鮮明に浮かんでくる。


泣きながら私の顔を覗き込む初兎。

遠くの方で微かに聞こえる私を呼ぶ声。

言うことを聞いてくれない身体。


あの時、死にたくない。心の何処かでそう願った。


自分が死んだことに気付かずに、ずっと彷徨っていた。

ううん、自分が死んだことを認めたくなかっただけ。


『初兎、大好きだよ。』


私がそう言えば、悲しげに微笑んでこう言った。


「俺もやで。」


数秒こちらを見て、ゆっくりと足を進める初兎。

私はあの頃みたいに初兎の隣を歩いた。


もう笑い合いながら話すことはできない。

どれだけ願っても、叶うことはない。

そんなこと分かっていても、期待してしまう。


初兎は私の思考を遮るように口を開いた。


「またな、」

『....うん、またね。』


少しずつ小さくなっていく初兎の背中を眺める。

この″またね″が何十年先かわからないけど、それでも待ち続けようと思った。


初兎の背中が見えなくなった時、仄かに口の中でサイダーの味がした気がした。

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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜!すみません💦涙を止めること....できないですねw ハンカチで拭いといてください!!() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます(?) (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな?? (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Near | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/  
作成日時:2022年9月5日 18時

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