サイダー ページ13
「頑張ったな。」
遠くのほうで初兎の声が聞こえた気がした。
けど、きっと気のせいなんだろうな。
初兎には二度と会えない。
私は泣き続ける由菜に背を向けて、自分の家へ向かって歩き出した。
きっと、この選択は間違っていない。
初兎なら、この選択をしていたはずだから。
『ただいま。』
「おかえり。由菜ちゃんと何を話してたの？」
『別に。』
素っ気ない返事を返して、ソファーに倒れ込む。
お母さんはそんな私を横目に、お笑いのテレビを見続けていた。
確か初兎もお笑いが好きだったっけ。
他にも、よくラップを聞かされたなぁ。
「A？どうしたの！？」
『え？』
慌てた様子で声をかけてくるお母さん。
『あれ...？』
なぜだか、涙が止まらない。
拭っても拭っても、目からずっと溢れ続けている。
「やっぱり何かあったの？」
『何にもない。大丈夫だから。』
私は急いで自室に向かい、部屋の鍵を閉めた。
『なんでもない日常がほしい。』
ポロッと出た言葉だった。
くだらないことで笑い合ったりする、そんな日常がほしい。
私は机の引き出しを開けて、一枚の手紙を探した。
そこには丁寧な字で、″拝啓大嫌いな君へ″と書かれていた。
私はその手紙を手に取ると、くしゃくしゃに丸めてゴミ箱に捨てた。
この気持ちも、ゴミ箱に捨てられたらいいのに。
そんな考えを嘲笑うかのように、鈴虫がうるさく鳴いていた。
何も考えたくない。
未だに涙は止まらないまま。
『サイダーが飲みたい。』
暑い日に、たまに初兎と飲んだ記憶がある。
私は、サイダー味のアイスが一番好きだった。
『涼しいね。』
独りでそう呟く。
窓に近づいてみると、外には無数の星と月が光り輝いていた。
...あ、月が雲で隠れた。
ちょっと残念、そう思いながら窓から離れた。
特にすることも、したいこともないから、なんとなくベッドに横になってみる。
少し眠くなってきたので、何も考えず、自分の欲望に体を任せた。
眠ったまま、跡形もなく消えてしまえたらいいのに。
そんなくだらないことを考えながら瞼を閉じた。
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
