No,３ ページ20
『んん...。』
夢を見ることなく、眠っていたようだ。
ベッドから立ち上がり、カーテンを開ける。
すると、太陽の光が部屋に入り込んできた。
『眩しい...。』
ボソッと声に出してみる。
軽く目を擦ってリビングへ向かう。
「おはよう。」
『ん、おはよ。あれ、今日ってなにかあったっけ？」
お母さんが珍しく化粧をしているから、そう尋ねてみる。
すると、お母さんは不思議そうに私のことを見てこう答えた。
「何言ってるの。今日はお兄ちゃんの法事でしょ。」
『...もうそんな時期か。』
トーストした食パンに噛り付きながら昔のことを思い出してみる。
お兄ちゃんも、私のことを庇って死んだ。
最期にお兄ちゃんが言った言葉は数年経った今でも思い出せる。
「俺の分も生きろよ。」
お兄ちゃんはずっと、自分の幸せより人の幸せを優先する人だった。
あぁ、初兎もそうだったな。
二人とも、他人のことしか考えてなかった。
残された人の気持なんか、知らないんだ。
無意識に唇を噛み締めていたようで、血が出てきている。
腕でグイッと唇の周りを拭いて、お母さんを見る。
「早く準備しないと置いていくわよ。」
『はーい。』
皿を下げて、服を選ぶ。...制服でいいよね。
髪をまとめて、靴を履き、外に出る。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「どうする？先に帰っておく？」
法事がある程度終わり、お母さんにそう聞かれる。
『帰っとく。』
「気を付けて帰るのよ。」
軽く頷いて、ゆっくり歩き出す。
何処からかキンモクセイの甘い香りが漂う。
私はボーっと辺りを眺めながら歩いた。
季節はすっかり移り変わり、街が紅葉に染まっている。
後ろから吹く風も肌寒く感じる。
初兎がいなくなってから約３ヶ月。
私はこんなところで何をしているんだろう。
初兎がいない世界に価値なんてないのに。
初兎は私のことを庇って死んだのに。
私はのうのうと今日を生きてる。
歩く足を止めて、空を見上げる。
あの日と変わらず太陽は私を照らしていた。
『私って、何がしたかったんだっけ？』
生きてる意味が見出せない。
初兎がいない世界なんていらない。
私は方向を変えて、止めていた足を再び動かした
『待っててね。すぐにいくから。』
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ちと(プロフ) - まじで泣いてしまう...初兎ちゃんと、夢主さんにはあのままの日常を送ってほしかったなぁ... (8月22日 15時) (
レス) @page16 id: f6b0a849c1 (このIDを非表示/違反報告)
Near - ひーいれりすさん» 返信遅れちゃいました〜！すみません💦涙を止めること....できないですねｗ ハンカチで拭いといてください！！() (2023年3月26日 14時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
ひーいれりす - すいません誰か涙を止められる人はいませんか… (2023年3月6日 23時) (レス) @page23 id: 166743b295 (このIDを非表示/違反報告)
Near - 瑠夏さん» 目からスライムという表現で笑ってしまった() 人を泣かせる天才....。ありがとうございます（？） (2022年11月14日 20時) (レス) id: 20a94c6827 (このIDを非表示/違反報告)
瑠夏 - やばっ目からなんかスライムが止まらない(;~;)Nearさんは人を泣かせる天才かな？？ (2022年11月14日 6時) (レス) @page23 id: 427d2fc8fd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Near | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Naer/
作成日時：2022年9月5日 18時
