第33話「相棒」 ページ41
─NO side─
A「…なーんて、これは建前なんだけどね」
そう自嘲的に笑って立ち上がったA。
A「私はただ……“みんな”と、笑っていられればそれでよかった。平和じゃなくとも…何気ない日常を、みんなで笑って過せればそれで…私は十分なんだ。みんなの笑顔を見られるだけで、私はそれだけで──幸せだから」
ニヒッとはにかむAに、リヴァイは驚いて固まった。Aのそういう笑顔は見たことがなかったからだ。
A「…だから私は戦う。まぁ最も、巨人を絶滅させないとこれは叶わないからそれが大前提なんだけどさ。
……でも、私はみんなに笑っててほしい。そのためならこの命いくらだって懸けるし、体を張って守るよ。…もちろん、リヴァイも例外じゃないよ」
ニッと笑ってリヴァイの頭を撫でるA。
リヴァイ「…撫でんじゃねぇ」
パシッとAの手を振り払うリヴァイ。…が、満更でもなさそうな顔だ。そんなリヴァイを見てAはフッと笑うと扉の方へ歩いていく。
A「私は絶対に諦めない。諦めるわけにはいかないんだよ」
扉の前まで来ると立ち止まり、空を見上げる。
A「…今生きてるこの瞬間が、笑顔で溢れるような…そんな毎日が日常になるように、私は戦うんだ」
目を閉じ、ゆっくり目を開けてまっすぐ前を見据えてそう言ったA。
リヴァイ「……そうか。俺にはよくわからねぇが…巨人を絶滅させるのには賛成だ」
A「！」
いつの間にかAの隣に来ていたリヴァイはそう言うと、少し間を置いて言葉を放つ。その目には覚悟が現れていた。
リヴァイ「……俺は、お前に命を預けよう」
そう言ったリヴァイにAは目を見開き、思わず小さく口を開けた。だがすぐにフッと笑って、Aはリヴァイを見る。
A「…じゃあ、私もお前に命を預けるよ」
Aはそう言って自身の左手を拳にして横に突き出す。
A「──頼むぜ、“ 相棒 ”」
リヴァイもそれに応えるように、自身の右手を拳にして横に突き出す。
リヴァイ「──あぁ。頼んだぞ、“ 相棒 ”」
コツン、と互いの拳をぶつける2人。
2人は珍しく、Aは無邪気に笑い、リヴァイは優しい笑顔を浮かべて…
2人は
“ 新たな一歩 ”を踏み出した。
To be continued…
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作者名：大福モチ | 作成日時：2023年10月29日 15時
