第23話「部下の思い」 ページ31
Aside
A「………」
私は握っていた彼の手をゆっくり地面へ下ろすと、立ち上がった。
─ルディside─
ルディ「…っ、A、さん」
振り返ってこちらに歩いてくるAさんは、酷く冷たい目をしていた。
……まただ。また…あの人に、あの目をさせてしまった。感情を押し殺している、光を宿さない目。仲間が、自分の部下が死んだ時、あの人はいつもあの目をする。全部自分のせいだと、言い聞かせて。……Aさんのせいじゃないのに…俺達がもっと、強ければ……。あなたの役に立てるのに…。
…救ってもらったあの日から、俺達は…あなたに＿＿＿＿＿＿。
クッ…と歯を食いしばり、悔しさを掻き消すように力を込めて手を握った。
ルディ「…すみません、でした」
マナ「……すみませんでした」
A「お前らのせいじゃない。私の判断ミスだ。…巨人の接近に気づけるのは私だけ。その私が離れればどうなるかぐらい、わかっていた。それでも私は、班を離れる選択をした。その結果がこれだ。だから謝るな。…結果なんて、誰にもわからないんだよ」
ルディ「…っ」
Aさんは俺達にそう告げると、エルヴィン分隊長の方へ行き、2人は何かを話し始めた。
…あぁ、また……あなたはすべて背負おうとする。俺達にも責任はある。俺達がもっと強ければ、救えた命があったはずなんだ…。Aさんは俺達を信じてくれている。だからあの時、班を離れる選択をしたんだ。なのに俺達は…その信頼に応えることができなかった。何も、できなかった…。俺達が弱かったから……。
……ダメだ、後悔はするな。Aさんがいつも言ってるだろ。後悔だけはするなって。
…そうだ。もう後悔しないために、俺達は＿＿＿＿。
ルディ「…マナ。強くなるぞ」
マナ「…もちろん」
ルディ「俺達がAさんを守る」
マナ「うん。もうあの人だけには背負わせない」
ルディ「……」
…A
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作者名：大福モチ | 作成日時：2023年10月29日 15時
