〜プロローグ２〜 ページ4
無慈悲にも、背後に巨人が現れる。
「おとうさんッ！！おかあさんッ！！」
「……っ…A…。お前に、すべて背負わせてしまうことになってすまない…。…絶対負けるんじゃないぞ」
「…っ、いやだｯ…」
「…大丈夫さ。なんたって、俺とシエラの自慢の娘だからな！」
死ぬとわかっていても、我が子の前では笑顔でいる。最後くらい……笑顔で。
──いや…覚えておいてもらうなら、笑顔の方がいい＿＿＿＿。
「走れ、A。
…さぁ、行けッ！！！！」
「…っ！！」
その瞬間、幼き子ははじき出されたように走り出した。
「…強く……生きるんだぞ＿＿＿＿。」
＿＿＿＿覚えているのは、最後に見せた…両親の“笑顔”だけ。
…だからこの記憶が、確かなのか定かではない。
ただ、これだけは覚えている。
私は私らしく、自分の心に従って守りたいものを守る。
そしていずれ私に、選択の日がくる。あの言葉の真意はわからない。けれど…父さんが言っていたように、自分を信じて自分を強く持とう。どんなクソな運命だろうと絶対に抗ってやる。
そして……血筋なんてクソくらえってことだけだ。
──出会い…。
ある日。家から抜け出した日、見知らぬ男と出会った。
「…君は？」
「……」
最初は警戒ばかりだった。
でも…
「調査兵団に来ないか？」
そう言われて、
「……あいつらから解放されんのか？」
「あぁ、約束しよう」
こんなクソみたいな暮らしから、あいつらから解放されるなら…
「──なってやる。兵士でも調査兵団でも、なんにでも」
その頃に、私はエルヴィンからマフラーをもらった。一族の証を隠すのに、大事なもの。今では肌身離さず付けている。
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作者名：大福モチ | 作成日時：2023年10月29日 15時
