第20話「天候悪化」 ページ28
Aside
しばらく走っていると、ポツリポツリと雨が降ってきた。それは時間も経たずに大雨へと変わった。霧も立ち、視界が悪い。フードを被り、雨を少しでも凌ぐ。
A「(…これじゃ巨人どころか、信煙弾すら見えない)」
ルディ「Aさん！！これだと巨人の接近に気づけません！！」
マナ「この雨じゃ信煙弾も見えません！！」
「伝令はどうなってる！？」
「こんな雨の中伝令なんて来るわけないだろ！！」
「でもこれじゃ状況がわからない！！」
ルディ「Aさん！！…どうしますか？」
A「………」
私は少し考えると、口を開いた。
A「…お前ら、極力私から離れるな！！固まって動け！！足元が不安定だ、速度を落として移動する！！」
「「「「「了解ッ！！」」」」」
激しい雨と霧で視界が遮られる。前も横も霧で何も見えない。信煙弾すら見えない大雨の中、情報伝達ができるとは思えない。それに、もう陣形は機能していないだろう。…指示を仰ぐか。
A「…お前ら！！私は一度、エルヴィンのもとまで行って指示を仰ぐ！！」
ルディ「！？」
マナ「Aさん一人でですか！？」
「さすがにこんな雨の中一人でなんて無茶です！！」
「そうですよ班長！！」
「俺達も行きます！！」
A「ダメだ！！エルヴィンのもとには私一人で行く！！お前らはルディの指揮の下、このまま走って進め！！」
ルディ「…了解ッ！！」
マナ「…ッ了解！！」
「「「りょ、了解ッ！！」」」
3人は先程までどこか納得のいっていない声だったが、今はもう覚悟が決まったような力強い声だ。
ルディとマナに感化されたか…。私がいない時はルディに班を任せている。うちの班の副班長だからな。それに2人は私の優秀な部下だ。そんな信頼における2人が「了解」と言ったのだ。だから3人も私を信じ、「了解」と言ってくれた。
早く済ませて戻ってこなくては…。
ルディ「……Aさん。…ご無事で」
マナ「…生きて会いましょう」
A「…あぁ、お前らもな」
私は2人にそう言うと、馬の手網を引いてエルヴィンのもとまで馬を走らせた。
…まさかあんなことになるなんて知らずに＿＿＿＿。
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作者名：大福モチ | 作成日時：2023年10月29日 15時
