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「……っ」
Aは俺の方に寄る。チョンソルに触れられるのは許容範囲外らしい。こんなことに優越感を感じるなんて、俺は思いの外小さい人間だったらしい。
「あ、ごめ、違くて」
「……知ってたのにな、俺。いや、知ってるのに……声もかけなかった」
独り言のように紡ぎ始めた言葉にAは戸惑ったようだが、俺にはすぐにわかった。自責の言葉だと。
悲痛に顔を歪めるチョンソルにその意図を汲み取ったらしく、Aも瞬きして、首を横に振る。
「僕なら平気。本当だよ」
「平気なわけ……」
「グガがいるもの」
ね。Aは俺を向く。思わず頷いた、けどこれ結構恥ずかしいな。
俺をじっと見つめたチョンソルは頭をかいて、仲良いんだな、と呟く。
それより俺は気になることがあった。
「A、長く待たせたんだからあったかい飲み物くらいくれてもいいよな」
「えっ、ええ、良いけど、もちろん……買ってくる……」そこで反論しない辺り心配になるよ、マジで。
とたとた、そんなオノマトペが似合う動きで近くの自販機へと走っていったAを尻目に、俺は目の前のチョンソルに声をかける。
「まさかクラスメイトから話を聞くことになるとは、ってところ」
「……何か聞くつもりなんですね。いいですよ、Aを陵辱してる連中のリーダーについて話すのが手っ取り早いですか？」
「……話早すぎでしょ」
「事の発端はそのリーダーがAに一目惚れするところから始まるんですが」
は？
「女なの？」
「いえ、男です」
「……？」
「転入当時のAは挨拶すらままならない言語力で、そいつの告白の文言が意味わかんなかったんですよ。そいつもそいつで、男相手の告白なんて慣れないことするから複雑な言い回しになっちゃって」
「……クラスメイトの前で告白したってことですか？」
この国はLGBTにそこまで寛容じゃない。遠回しの告白といえど告白とわかるような文面を、よくもまあ。
チョンソルは苦笑いを浮かべた。
「……大手ITの重役の息子で容姿端麗、有名私立高校への進学が決まってる、カースト頂点ですよ。誰も口出ししません。プライドも高い。非常な決意を持った告白だったんだろうに、Aは首を傾げたんですよ。日本でも有名な愛してるって言葉も使ってたのに。それはそれは綺麗な顔して。もう俺笑い堪えるのに必死でした」
その後起こることを想定しようとしなければ、確かにめちゃめちゃ面白い現場だろうな。
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触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
