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数日、数週間、数ヶ月。
歌、ダンス、撮影、作法。
学校、宿舎、実家。
スケジュールが組み立てられた毎日の中だ。
ガキなりに身なりを整える俺と、対照的に毎日ボサボサの髪の毛を数回梳かしてふらふら学校に行くA。
呆れてたけど今更言う気もしなくて、っていうかAは朝が早いから顔見る頃、俺が起きる頃にはもう行く準備終わってるし、絶妙にズレた生活をしていた。
今年卒業して高校進学してデビューするし。
今話す理由もないし。
そう思っていた。
珍しく俺が早く帰ってきてドアを開けた。
Aは部屋着に着替えようとしていた。
背中から腕にかけて一閃の傷。
真白い肌に痛々しい程の縫合痕。
ばっと振り返り、女みたいに手元の服をとっさに胸元に持っていったA。そんなことどうでもよかった。
「……何、それ」
「い、や……なんでもないよ、忘れて」
「忘れて、とか……」
烙印にも似た傷痕。もう目に焼き付いてしまった。
呆然とその姿を眼球に投影しながら揺らぐ足取りのままAの前へ進む。
Aは顔に色を無くして浅い呼吸を繰り返してから、足を絡ませながら部屋から出て行った。
Aの革鞄が倒れ、水筒が倒れ、ペンケースが倒れ、ボールペンが落ちた。
「ちょ、A！？ おい、なんで半裸……泣くな泣くな！」
ジニヒョンの声がする。
Aがしゃくりあげる声がする。
◇
夜。部屋にAは帰ってこなかった。
外出しているのかと近くにいたマネージャーに問うと、少し散歩、とだけ伝えられたらしい。
嫌われたな。
だから人は苦手だ。
人と関わるのは嫌いなんだよ。
芸能系統の高校を志望する俺は受験科目なんかをバーっと目に通しながら、苛立たしくボールペンをカチカチカチカチ出したり収めたり、とにかく手元を動かしていた。
「おい」
本当に面倒くさい。なにあの傷。ほんと。
古傷っていうには新しくて、けどずっと前からあるような傷。
「おい」
ジニヒョンは多分知ってるんだ。あの傷がなんなのか。そんで俺は知らない。
結局そんなもんなのかよって、変な笑いがこみ上げる。
「……はっ」
「何笑ってんだ」
「え、うわ！」
今日は遅風呂だったのか、ユンギヒョンが自分を見下ろしている。パジャマ新調したんですね。
「なんですか？」
「あぁそうそう。お前、Aと喧嘩した？」
「……は？」
いや、喧嘩もなにも、一言もかわせないままどっか行かれましたけど。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
触 - 性被害後の処理の方向が驚きでした。完結までもっていってくださりありがとうございます。お疲れ様でした。 (2021年8月5日 3時) (
レス) id: 95434f44d3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼく(プロフ) - 虞犯少年さん» リクエストさせて頂けて光栄です、新しい作品の方も毎日毎分まだかまだかと更新楽しみにしております(笑) (2019年1月3日 16時) (レス) id: a099ebec59 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - 猫わかめさん» そんな素敵な言葉をいただける作品を書けたことを嬉しく思います。読んで下さりありがとうございました。 (2019年1月3日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
猫わかめ - 感動しました。次へ、次へと、手が止まりませんでした。素敵な小説をありがとう。そして、完結お疲れ様でした (2018年12月31日 17時) (レス) id: abf16c0298 (このIDを非表示/違反報告)
虞犯少年(プロフ) - ぼくさん» ありがとうございます。まさにそう思われる作品を目指していたので、本当に嬉しいお言葉です。いいですね、短編でやってみたいです。 (2018年12月29日 14時) (レス) id: 3f60c9b07f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虞犯少年 | 作成日時：2017年10月7日 22時
