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40 ブロッサムとコニー ページ40

コニーはざるにあがったさくらんぼを唇にあてがい、


「エバンが亡くなった今、チェリーはどうしてるのかしら? チェリーとあの男に依頼されたから私を突き止めて会いに来たんでしょう」


 わざとらしく色っぽい。ブルーライトに照らされた身体が艶っぽさを演出させる。ジェームズは悪そうに口笛を吹いて、適当なことを口走る。


「イイねぇ。俺、アンタみたいなのけっこー好きだよ」
「ありがとう。私はアンタみたいな年下っぽい男は嫌いだけどね」
「だよなぁ、そう思ったよ」


 悲し気に最後にそう言うのを聞いて、しょげた顔が可愛いじゃない、とコニーは大人っぽく笑った。ビアンカはチッと響きの良い舌打ちをすると、自分の革ジャンからワルサーを取り出す。彼女は滅多とワルサーを持ち歩くことはなく、型も古い方だ。


「くだらない会話にはのらなくていよ、ブロッサム」


 今回はキャロルがいるからだろう、ワルサーのダブルアクションだ。トリガーを引く予告みたいなのがあるため、シングルアクションに比べて心臓には優しい。


 しんとなっていた周りが、再びざわめきだす。ワルサーのマズルは真っ直ぐ、コニーの方をさしている。短気なのがここで出るとは思わなかった。俺も少々呆れながら、ゆっくりとポケットからベレッタを出す。


 セイフティ・レバーを解除すると、さすがに可愛い顔が血相を変える。コニーからさっと温度がなくなっていく。キャロルはコニーをぎろっと睨みつけて、


「質問に答えてくれるかしら?」


 と首をかしげた。


「貴方はエバンを硫黄で毒殺。これは間違いない?」
「硫黄を買ったことまで知ってるのね。あってるわよ」
「チェリーの夫リザも殺そうとした。間違いない?」
「そうね。そんな予定ではなかったけど」
「チェリーとはどういう知り合い?」


 この質問に、コニーは何度か瞬きをした。強い眼差しの奥に何を秘めているのか、俺には分からなかった。


「一度はね、エバンを売ろうとしたわ。凄いお金が入ることも知ってた。誰もが欲しがる細胞を持って生まれた子供だもの。


 大学でチェリーとは知り合ったわ。同じ専科で同じ席。話の合う友達だったけどね、いつしかチェリーが眩しく見えた。彼氏も友達も、私より多かった。私を置いて行ったように感じられてね。


 女の嫉妬よ」


 ぴくりと上がった眉毛には、哀愁の余白があった。

41→←【第6章】39 ブロッサム初登場



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設定タグ:ローファンタジー , 海外・アメリカ , 恋愛、シリアス   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777  
作成日時:2014年8月7日 15時

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