28 ヒミツの仕事 ページ28
キャロルはフォークでそれをさして、一口食べると、徐々に表情に喜色がさしていった。親指をきゅっと立てると、ロメオも嬉しそうに親指を立てた。
目の前に誰かの革靴が止まり、俺は顔を上げる。黒のジャンパーを着て、特徴的な四角い鼻を持つ男だった。冬にしては薄着だった。
「ロメオ、勘定頼むよ」
「へい!」
男から手渡された1枚の紙を受け取り、さっと目を通すと、テーブルの小さな金庫を開けた。男はキャロルが調べた犯罪者共のリストには載っていなかった。
「合計で70ドルっスね。2パーセントひいときます」
「お、センキューな」
男はズボンのポケットから額を出し、ロメオから手渡されたコインを受け取る。ゆっくりと振り返ると、寄り道もせずに階段を登って帰って行った。
70ドル。男は顔も赤くなかったし、足取りもしっかりしていた。それに臭いもそうしない。そう酔ってはいないはずだが――。
「ここってそんなに高ぇのか?」
「いえ」
ロメオは先程渡された札をぱっぱと数えていた。俺の質問をさらっと否定すると、流暢に話を続けた。
「実はね、ここ仕事の仲介をしてるんですよ。さっき高かったのは、仕事の紹介料と言いますか。まあ、簡単に言えばここはギルドみたいなもんです。こんな水商売してる所ですから、色んな人が来ると思いません?」
ぺろりと自分の指先をねぶり、札を数え続ける。キャロルは頬杖をつき、
「どういうこと?」
「ああ……。初めてのお客さんに言うのもアレなんですけど」
言いづらそうに言葉を伸ばす。鼻をこすったロメオに、表情の曇りはない。
「裏の商売とか、興味ありませんか?」
カウンターに乗り出し、ロメオは俺達をじっくりと見た。その言葉に、俺とキャロルはアイコンタクトをとった。これは、キタ。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時