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グラスを傾けて、２口含む。大分薄めてくれたバブルガム・ウォッカだが、口にほろ苦いメタノールの味がした。５秒もすると完全に口から消えて行ったが、表情はそれをコピーして元に戻さない。久し振りのビールは、もう何が何だか。
「あれ。まずかったですか？」
「いや」
俺は２，３ミリ舌を出して誤魔化す。サウジアラビア系の顔が俺の逸らした顔を追っている。帽子から流れたブロンドに、アーモンドの形をした青色と黒色の瞳。肌はアルコールでやられたのか、くすんでいるように見えた。
「主人ね、久し振りに飲んだのよ。だから味になれないんだと思う」
「はー。そりゃ苦しいですよ」
声のトーンを上げ、ロメオは何度かコクリコクリと頷く。事態を察したような態度だ。
「おつまみでも出しましょうかね」
「焼きチーズをお願い」
「かしこまりました」
俺の好物を颯爽と答える。キャロルは目と眉を近寄らせて、優しく俺の背中を撫でた。大丈夫、と質問されてゆっくりと首を縦にふった。
ロメオはかがんで下のオーブンから鉄板を取り出し、焼きチーズを取り出した。青のミトン手袋は所々糸がほつれて、黒ずんだり茶色に焼けたりしていた。黄色のシールがはられた銀色のトングを持つと、鉄板の上のチーズを取り外していく。
まだ年齢は若いが慣れた手付きを見ると、ここに勤めて長いのかもしれない。それに、銀色に輝く腕時計はクオーツ式。カチカチと動く時計よりも数倍は高い。
「手付きが良いな。ここに勤めて長いのか？」
「え？ ああ、ありがとうございます。そんなことないですよ。３〜４年くらいっス」
「長いじゃない。このカウンターに立ったのも同じくらいなの？」
「いや、ちょうど１年くらい前です。それまで掃除とか事務とか経理とかで」
ロメオは苦笑し、赤色の器を俺達の方に出した。こんがり焦げたチーズは、丁寧にも薔薇のように重なり合っている。キャロルはその器とロメオを見て、ニコニコ微笑んでいた。グラスを見ると、キャロルはまだお酒のペースが速くない。でも、ここに来てアドレナリンが高まっているようだ。
「凄いじゃない。１年でコレ？」
「調子良い時だけしかこんな盛り付けしませんよ」
「私達はアタリって訳ね」
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (
レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)／あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました！このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇｀*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…！！あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます！！！！ (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ：https://twitter.com/seshiru777777
作成日時：2014年8月7日 15時
