24 ロッヂに向かう車 ページ24
「俺、あいつ等の車に発信機つけてきたぜ」
「偶然ね」
ジェームズの言葉に、キャロルは少しだけ振り返る。
「私達のチームも、アリアとゴードンに付けてきたのよ」
後ろの席からくるアルコール消毒液の臭いが鼻をツンとさせる。ビアンカは左腕に5センチほどの赤い傷を作っていた。見ているだけでヒリヒリと痛そうだし、血もまだ完全には止まっていない。ハンドガンでつけられた傷は、止血が難しい。
そんな傷を手当てをされているというのに、涙目になったりビビりになったりしない所はビアンカの良い所だ。怒ってジェームズを殴る時はあるものの、弱音を吐いたり見せたりしない。
新しい包帯を巻いているジェームズの頭を軽く叩いた後、新しく話題を切り出す。
「それで、キャロルのチームは何か手掛かりあったのかよ?」
「手掛かりというか、なんというか。銀行でマーサ・Jの口座でお金をおろしてたわ。そのお金で宝石店を幾つか回ってたの」
「キャロルは気付かなかっただろうが、宝石店の店員は皆、奴等を知っているようだったぞ。常連客のような感じがした」
「店に入ってからも見てたの?」
キャロルは目をパチパチさせる。俺は肩をすくめ、前に視線をやった。この時間帯は渋滞しやすいらしい。夕ご飯を食べに行く家族か、家族の元に帰るサラリーマン。いつの時代になったら渋滞はなくなるのか。人工も多くなる一方だ。
「痛ェ!」
「べーだっ。お前のパンチなんて御見通しっ。うおっ」
ビアンカは足を上げて、ジェームズの腹を思いっきり蹴飛ばす。狭くて逃げられず、半ば強引気味にビアンカは蹴りを入れる。それを回避しようとたじろぐジェームズは、待て待てと零す。
バックミラーに映っているのは、終わりの見えないささやかなふたり。キャロルは後ろに身体ごと振り返って、ふたりに喧嘩をしないようにと言った。まるでアダルトシッターをしているよう。なんとも微笑ましい光景だ。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時