12 リゼ&チェリーの家 ページ12
午後5時15分、リゼの家についた。依頼書に書いてあった住所に疑いはあったが、ポストに名前が書かれている所を見ると、どうやら本当らしい。車を歩道の横に留め、灰皿を握ったまま寝ているキャロルを起こす。
リゼが購入したという言う家は、一昔前を思わせる少し古い家だった。ドールハウスのような三角を描いた屋根は赤色で塗られ、青のペンキで木の壁は塗ってある。芝生の生えた庭には廃品回収に出そうとしていたであろう、青と白のベビーカーが泥まみれになって置いてあった。
キャロルはそれを見詰めて、眉間に皺を寄せて嫌な顔をしている。特に下へと歪んだ唇がキャロルの心情を思わせる。
俺は直ぐ後ろを歩くキャロルを見やり、思わず溜息が出そうになった。胸で堪え、白のペンキのドアに向かう。近代的な家ではないにせよ、建築と構成がしっかりされている。壁は薄汚くて埃っぽいが、建物自体は素人目に見てもボロがない家だ。
ドアのぶに取り付けられた電卓のようなものを見て、ロックナンバーだと悟る。悔しかったが、折角来たのにと吐くのは辞めた。ここは住宅街で怪しまれると厄介だ。リゼに電話をしてロックナンバーを聞こうにも、新婚の住宅など早々は入れるもんじゃない。
「ナンバーか? 任せろよ」
ジェームズは、キャロルと俺を押しのけてづかづかとドアに近づく。電卓の前で膝を少し曲げて、暫時左目を近付ける。そして元の体勢に戻る。誰にも見せないように電卓の1〜0番のどれかを長押した。するとガチャリと音を立てた。
キャロルが右眉をピクリと上げ、「開いたわ」と言った。
「どうやってやったんだよ」
「友達から裏技聞いてさ。誰にも教えない。墓場まで持ってくよ」
キャロルもビアンカも、ジェームズを怪訝に思った。ジェームズは苦笑して先に中に入って行った。俺も倣って後に入り、ふたりのためにとドアを押さえた。キャロル、ビアンカと中に入っていく。
部屋は、荒れていた。
まるでこの場所で爆発を起こしたのか、誰かが喧嘩をしたのか、そんな跡だった。丸テーブルにあったであろうガラスの花瓶は倒され、ピンクの薔薇と水が零れている。白レースのカーテンはなんとも不恰好になり、窓ガラスは破片と化していた。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時