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一通りの女を見終わった後、この場所にはいなかったと胸を撫で下ろす。仕事なのにいけないこと。銃大国のアメリカだ、物騒な所に入ると誰がどんなことをしてくるか分からない。


 この場所にも慣れて来て、ビアンカからはロッヂのアジトと直接繋がっているセールスマン(入札者)もいないと情報が入る。


 午後が近付くにつれて、人足がどっと多くなる。一歩踏み出そうとすると、誰かの足を踏んでしまいそうで怖かったし、これまた逆も同じ。踏まれそうで恐怖。


 ブロンド女を追っている場合じゃない、俺がここにいられるかが心配だ。空いた小さな隙間に足をねじ込ませる。子供の泣き声が天井までつんざく。


「ロバート」 時刻はちょうど午後2時。


 耳の小型機器に、ジェームズの声が。俺はマイクのスイッチをオンにした。


「はい?」
「入口から見て右側。気になるブロンドの女がいる」
「今入口から見て左側。ソイツ見張ってろ」
「うぃー」


 呑気な返事にかっと額に汗が滲む。体温の違う奴等がゴロゴロいて、それがすれ違いざまに伝わる。それが気持ち悪くて、汗臭くて、火薬の匂いがして、子供の脱糞の匂いがして。鼻をつまみそうになりながらも、右側へ移動する。


 大体の位置に来た時、ジェームズとまた通信した。誰とでも通信出来るのだが、ボタンを押す長さで各自が決まっている。俺は1秒、ジェームズが3秒だ。


「一番壁際。突当り」


 ジェームスの呆れたような声に、事態を察した。


「ハァイ」
「ハイ……キャロル」


 機嫌の悪そうなキャロルと、それに焦ったジェームズが隣り合っている。そしてキャロルは怒り散らしたのか、髪の毛をむしった後が。赤子を売り払った所なのだろう。俺は右の頬を膨らませ、


「コニーがまだみつからない」と漏らした。
「そっちは、もうみつかったんだな」
「ついさっきな、番号札があって。それで顔面認証してもらったら合致。マーサ・Jとも知り合いみたいだった」
「キャロル、セールスマンは殺さなかっただろうな」
「俺が届けたんだ。キャロルさんはそんなこと出来ないだろ」


 キャロルは、出入り口へと踵を返した。午後2時になっても、コニーは姿を出さなかった。ジェームズとビアンカが聞いてくれて手に入れた情報だが、あてにならず……。

37→←35 ジェームズ、ロバート、大聖堂へ



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設定タグ:ローファンタジー , 海外・アメリカ , 恋愛、シリアス   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777  
作成日時:2014年8月7日 15時

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