35 ジェームズ、ロバート、大聖堂へ ページ35
午前10時、それぞれの持ち場に就く。俺とジェームズは2駅乗ってロニアへ、キャロルは依頼先のベビーシッター、ビアンカはホテルでパソコンを開けた。全員の耳に小型マイクとイヤホンが取り付けられ、連絡が常時とれるようにスタンバる。
オークション会場は、21世紀のキリスト大聖堂。今は老朽化で使われておらず、広場が旧墓地であったため気味悪がって家を建てる者もいない。来客のための駐車場になっており、俺達はロニアの大学仲間から借りたバイクを1台駐車した。
大聖堂を見上げたジェームズが、
「でけぇな」
と溢す。
「ああ……、お前みたいなん大聖堂なんか来たことねえから分からないかもしれねーけど、大聖堂にしちゃ小さい方だぜ」
「馬鹿にすんな! ホラースポットくらいならありますぅー」
「俺はキャロルと一緒に参拝に行ったよ」
苦笑というべきか、呆れというべきか、その中間辺りの表情を浮かべる。不幸自慢じゃないけど、日曜日に大聖堂で歌うというのは苦痛で仕方ない。
俺達は多少会話をしながら、オークション会場に入った。階段の上には名前やら暗号やらが描かれたスケッチブックを上にする者や、泣く赤子や宝石や金庫を持った男女がうろうろしていた。午前中は、ざっと70人程度。午後になると動くのも困難なほど人が集まってくるだろう。
俺は左手に、ジェームズは右手に別れた。会話はすっと途切れて、背中を見せ合う。ポケットから出たレンズはほんの少し。バレる可能性は極めて低いにせよ、ここが物騒なのを考えると胃がキリキリと痛む。
コニーは何処にいる……。午後2時にしか現れないのか、もう先に来て仲間を待っているのか。ブロンド女は何人もいるものの、頭に押し込めた女と一致しない。
ただ、俺はブロッサムと語る女と会ったことがない。“それらしき女”をコピー用紙で探しただけだ。もしかしたら俺の認知した顔じゃないかもしれない……。もしかすると、もうすれ違ったか顔を見たかもしれない。
青い目、桜色のリップグロス、160�、コロラドの訛り。
リゼとチェリーの証言をもとに、はうように歩いた。ゆっくりみていかないと、見当もつかない……。
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あに(プロフ) - いえいえ。こちらこそ、お忙しいところ申し訳ありません。 (2015年11月1日 10時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - あにさん» ありがとうございます。私もコイツらのこと好きです(°▽°)/あに先生の小説の評価、遅くなって申し訳ありません。これから暫く暇になると思うので一気読みしますb (2015年11月1日 8時) (レス) id: 6298628eb9 (このIDを非表示/違反報告)
あに(プロフ) - キャラクターの台詞がとても好きです。そして、映画を見ているような感覚です。文を読むとその場の様子が浮かんできて、感動しました!このサイトではめったにこういう作品と出合うことがめったにないので……。 (2015年11月1日 0時) (レス) id: b6e044a433 (このIDを非表示/違反報告)
レイチェル・ハジェンズ(プロフ) - 阿吽さん» コメントありがとうございます(*´∇`*) 今振り替えると、文の羅列ばかりで配列に工夫がないような……。でも今のバランスなければ凄いという言葉は出ないはず。難しい所ですね。 読んでくださってありがとうございました! (2014年11月5日 23時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
阿吽(プロフ) - 凄い…!!あ、イベントに参加登録してくれてありがとうございます!!!! (2014年11月5日 23時) (レス) id: e6f590558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:レイチェル・ハジェンズ | 作者ホームページ:https://twitter.com/seshiru777777
作成日時:2014年8月7日 15時