8話 ページ9
「あー、その……昨日は強く言いすぎた……と思います」
「……」
沈黙。
そして、彼と視線が絡む。
「ごめんなさい」
「っ……お、おう。
何か、俺も悪かったな」
「……」
今度は私からじっと見つめると、逃げるように目を反らす幽ちゃん。
「……ごめん」
そしてちょっと躊躇った後、小さくそう言った。
再び、目が合う。
「……なぁ。今日、お前ん家行っても良いか?」
「ダメ、って言ったらどうするんですか?」
「無理矢理にでも行ってやる」
「ふふっ、それ私に許可とる意味がないじゃないですか」
「ま、まぁな……」
そう言って、彼は照れ臭そうにはにかむ。
その姿に不覚にも。ちょっと可愛いな……なんて思ってしまう私がいて。
キーンコーンカーンコーン……。
「あ、やば……」
「ん? どうした?」
「すみません、私もう教室行かなければならないので!!」
床に置いてあったバックを引っ掴み、急いでトイレから出る。
「お、おう!! 廊下で転ぶなよ!!」
「うん。ありがとうございます!!」
後ろから聞こえた幽ちゃんの声になるべく小声で返事をしてから、(本当はしちゃいけないけど)廊下を全力でダッシュした。
――ふふっ、早く放課後にならないかなぁ。
なんて胸を躍らせながら。
もちろん、
「お、おはようがざいます……」
「遅いっ!!」
「すみませんっ!!」
どんなに足取り軽く走ったところで、遅刻は遅刻だったのだが。
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革ベルト
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クレセント(プロフ) - このサイトで初めて、この作品で泣きました。すごい心温まる作品でした。 (2015年7月25日 22時) (レス) id: 0dad620270 (このIDを非表示/違反報告)
星蛇(プロフ) - 最後感動して涙が出そうになりました…! (2015年7月25日 19時) (レス) id: d5d2464099 (このIDを非表示/違反報告)
陸人(プロフ) - キャラリーさん» はい! (2014年12月30日 14時) (レス) id: 0a0c609081 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - 陸人さん» ありがとうございます。もう少しで完結しますので、最後までお付き合い頂けたらと思います。閲覧ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - あんこさん» レス遅くなってしまい、申し訳ありません。そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キャラリー | 作成日時:2014年2月8日 23時