女子トイレにいる男の子。【名前変換オリジナル】

４話 ページ5

「おっ、俺……気に障るようなこと言ったか!?」

「別に。でも……君のせいですから」

「え!? 何それ、理不尽!?」

「世の中は理不尽で溢れているんです」

「……あー!! 俺が悪かったよ、悪くないけど!!
これで満足か!?」

「ふふっ。はい」



――楽しい。

本来なら恐怖の対象のはずの彼に、そんなことを思ってしまって。
でも、楽しいの対象が幽霊でも全然おかしくない、なんて思い直して。



「あ、良かったらお友達になりませんか?」



思わず、飛び出たのはこの言葉。

そして、自分の言ったことのイレギュラーさに気付いて

――“俺とお前が友達!?”とか笑われるかも。

なんて、ちょっと覚悟する。

が。



「友達? もうとっくに友達じゃねぇの?」



彼の言葉は、私の考えの斜め上を行っていた。



「なんか……さらっと格好良いこと言いましたね」

「んー、そうか?」

「……なんか今、とってもイラッときました」

「え!?」

「っ……でっ、では、さようなら」



そう言って、さっさとトイレから出ようとした私に、背後から



「明日も、来いよな!!
……嫌じゃなかったらだけど」



なんてかけられた君の声。

それに、振り向かないまま



「……気が向いたら」



とだけ返して、私はトイレを出た。

そして階段を全速力で駆け上がって……へたりこむ。



「失恋してすぐ好きな人が変わったら……私が軽い女みたいじゃないですか……。
……人じゃないけど。幽霊だけど」



もう頭の中は、ぐるぐるだ。

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