２８話 ページ29
「何でこっち見てくれないんですか。
そんなに引いたんですか」
「……引くわけねぇだろ。 ただ……」
こんな赤くなった顔、ダサくて好きな女に見せられるわけねぇだろ。
振り返ってそう言った幽ちゃんの顔は、いつもの彼の顔色からは想像できないくらいに耳まで赤く染まっていて。
「ふふっ、幽ちゃん真っ赤ですね」
「っうるせ。 誰のせいだと思ってんだよ」
「さぁ?」
ちょっとだけ可愛いなんて思ったのは、内緒。
「Aのくせに生意気。
……あ、目の下にまつ毛くっついてる」
「え、本当ですか? ……取れました?」
「いや、あ、もうちょっと左……。
……鏡使ったら?」
「……そうします」
言われたとおりに鏡の前に立つと、そこにあるはずなのに無いまつ毛。
「幽ちゃん、まつ毛なんてどこにも――っ!?」
突然唇に感じた違和感。
それが鏡に半身を突っ込んだ彼からのキスだと理解するのに、そう時間はかからなかった。
「くくっ、さっきに仕返し。
……俺も好きだよ、A」
そう言って浮かべた微笑みは、私が見た中で一番柔らかくて。優しくて。
今度は私が真っ赤になる番だった。
「……不意打ちはずるいと思います」
「Aだって不意打ちだったじゃん。
お互い様だろ」
「そうですけど……」
――でも、キスですよ? キス。幽ちゃんの方が断然ずるい。
「あのさ……もう一回、してもいい?」
「な、何をですか」
本当は何のことか分かっているけれど、わざと分らないふりをしてみる。
「……分ってるくせに」
呆れたように、でも少し楽しむようにぼそっと呟いた幽ちゃん。
その直後、また唇に落とされたキス。
先ほどの一瞬だけのものとは違う、お互いに溢れんばかりの“好き”を伝え合うキス。
――ああ。本当にずるい。
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革ベルト
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クレセント(プロフ) - このサイトで初めて、この作品で泣きました。すごい心温まる作品でした。 (2015年7月25日 22時) (
レス) id: 0dad620270 (このIDを非表示/違反報告)
星蛇(プロフ) - 最後感動して涙が出そうになりました…！ (2015年7月25日 19時) (レス) id: d5d2464099 (このIDを非表示/違反報告)
陸人(プロフ) - キャラリーさん» はい！ (2014年12月30日 14時) (レス) id: 0a0c609081 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - 陸人さん» ありがとうございます。もう少しで完結しますので、最後までお付き合い頂けたらと思います。閲覧ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - あんこさん» レス遅くなってしまい、申し訳ありません。そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キャラリー | 作成日時：2014年2月8日 23時
