26話 ページ27
「……」
「結局、あの後親父は帰ってこなくて二人で食うことになったんだけど。
お袋さ、俺の分のケーキに毒盛ってたんだよね」
「……っ、……」
声に乗せて伝えたい気持ちは確かにここにあるのに。
それを何と言う言葉に乗せたらいいのか分からず、喉の奥でつっかえる。
「多分さ、息子がいるからって理由で浮気相手の男に結婚こばまれてたんだろうね。
だから俺の存在が邪魔だった」
「……」
「でもさ、そのお袋は結局犯行がばれて逮捕。牢屋の中でぽっくり逝ったってわけ。
……笑っちゃうよな」
私がよほど深刻な顔をしていたのだろうか。
わざとおちゃらけたように最後を締めくくり、肩をすくめてみせる幽ちゃん。
そんな無理やり頬を歪めたような笑顔が見ていられず、
「ぅおわっ!?」
思わず彼に飛びついた。
「ごめん、やっぱ聞いてて嫌にーー」
「何度も言わせないでください。
私に遠慮は無用ですって」
「ごめん。ありがとな」
「はい」
確かに聞いていて気分のいい話ではない。
でも、ちゃんと聴いて受け止めようと思った。
だって、
「……好き」
だから。
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クレセント(プロフ) - このサイトで初めて、この作品で泣きました。すごい心温まる作品でした。 (2015年7月25日 22時) (レス) id: 0dad620270 (このIDを非表示/違反報告)
星蛇(プロフ) - 最後感動して涙が出そうになりました…! (2015年7月25日 19時) (レス) id: d5d2464099 (このIDを非表示/違反報告)
陸人(プロフ) - キャラリーさん» はい! (2014年12月30日 14時) (レス) id: 0a0c609081 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - 陸人さん» ありがとうございます。もう少しで完結しますので、最後までお付き合い頂けたらと思います。閲覧ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
キャラリー(プロフ) - あんこさん» レス遅くなってしまい、申し訳ありません。そう言って頂けて嬉しいです。ありがとうございます。 (2014年12月30日 7時) (レス) id: f8f530f740 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キャラリー | 作成日時:2014年2月8日 23時