8.ドラコside ページ8
父上達と合流し､いよいよ杖選びをする。
顔には出ていなかったが､Aもとても楽しみにしているようだった。
僕もつられて気分が高揚するのが分かった。
杖を決める為､オリバンダーの店に向かった。
オリバンダーの店は､良く言えば伝統を感じる､悪く言えば古臭いみすぼらしい店だった。
僕の杖が決まったのは案外すぐで､何十本も試す人がいるらしい中､僕は十数本目で見つける事ができた。
ユニコーンのたてがみ､サンザシの木､25cm。
僕の､僕自身の初めての杖。
僕は早く振ってみたくて仕方なかったが､Aの杖選びが終わるまでそれは出来ない。
だが､僕達は双子だ､Aもすぐに決まるだろうと店にあった椅子に腰掛けながら様子を見ていた。
だがすぐに僕のその考えが甘かった事に気付かされた。
Aは何本目か分からない杖を振っては取り上げられを繰り返していた｡
埒が明かないというのはこの事､という感じで､僕はうとうとと意識を手放しそうになっていた。
店のほとんどの杖を試し､両親までもが疲れをあらわにし始めた頃､オリバンダーが何か意味ありげに棚の一番上から杖をもって来た｡
Aがそれを握ると何かを感じたのかAはその杖を離し､机に置いてしまった。
だめだったか､とオリバンダーがその杖を直そうとしたところ、
A「もう一度その杖を振らせて下さい！！」
Aとは思えない大きな声に思わず目が覚める。
そしてオリバンダーが要望通りAにもう一度杖を振らせると､Aの足元が凍り､蛇と獅子の彫刻が出来上がった｡
僕がそれ以上美しい物を見たことがないと､そう言い切れるほどに､それは美しかった。
やっとAの杖が決まって､梱包してもらった杖を受け取り､家に帰ろうと両親が店を出ていくのに着いていった｡
ただAはオリバンダーと何か話していて､一番最後に店を出た。
家につくとAは待ちきれないというように自分の部屋へ駆け込んで行った。
そういうところは妹らしいな､なんて思いながら僕も両親と一言二言会話をし､自室へ戻った。
ホグワーツへ行く準備をし､ベッドへ寝転ぶ。
忙しかったけれど､素晴らしい一日だったと､心からそう思った｡
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作者名：まりっぷる🍏 | 作成日時：2023年5月21日 22時
