28.ハーマイオニー ページ28
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「……！！やっぱり…」
『ハ､ハーマイオニー…』
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「触らないで！！」
パシンｯと音が鳴り､手を払われる。
彼女の鋭い目つきと､自身の赤くなった手のひらを見て私は驚きを隠せなかった。
私を睨みつける彼女の瞳には､悔しさと深い怒りがあった｡
時間は数分前に遡る。
特にすることも無かった私は､早めに魔法薬学の部屋に着き､この前の本の続きを読んでいた。
こんなに早く移動しているのは私だけで､他に人はいなかった｡
地下というだけあって､静かで涼しい。
結構落ち着くな…なんて思っていると､生徒と思わしき子が扉を開ける音が聞こえた。
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「…！あ､」
ボワボワの栗色の髪をした彼女は､正しく私が入学式の時に会った女の子だった。
目が合った以上､挨拶をしないのは少し気まずい。
『こんにちは､えっと…ハーマイオニー・グレンジャーよね？』
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「え､えぇ！こんにちは｡」
なんだかギクシャクしてぎこちない彼女の返事に違和感を覚える。
できるだけ優しく､刺激しないように話を続ける。
『随分と早いのね､流石だわ｡先生方から色々聞いたの､貴方が凄く優秀だって言っていたわ｡』
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「そ､そうなの！とっても嬉しいわ！！ありがとう､…」
『…………』
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「……………」
沈黙が流れ､私はすでに気まずさで息が苦しくなっていた｡
『(セオ…！！来てくれ誰か！ドラコでもダフネでもパンジーでも､ハリーでもロンでも何ならパーシーでもいいから誰か！！！)』
そんな私の念が伝わったのか､ギィィと扉の開く音がした｡
ﾄﾞﾗｺ「…！A！もうこっちに来てたのか！探したんだぞ､……おい､まさかあいつと話したんじゃないだろうな?」
『軽く挨拶をしただけ…というかなに？また何かしたの？』
ﾄﾞﾗｺ「はぁ！？なんでそうなるんだよ？それに､忘れたのか？マグル生まれとは話さないよう父上に言われているだろ｡」
あぁ､なんか言ってたな…なんてぼんやりとした記憶を引っ張り出す。
『別に挨拶くらい良いでしょ…』
ﾄﾞﾗｺ「やめろよ､血を裏切るものになんてお前もなりたくないだろ？」
はぁ…またこれだよ…私は半分聞き流しながらドラコの声を聞いていた。
するとブルブルと震えながら彼女がボソッと言った｡
ﾊｰﾏｲｵﾆｰ「………｡ねぇ､さっきから聞こえてるんだけど｡」
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作者名：まりっぷる🍏 | 作成日時：2023年5月21日 22時
