大恋愛 ―9つの絆―

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「いのちゃんっ…」


「おかえり」


三階に移動し、待っていると不安色に染まった目をした大ちゃんが帰ってきた


「おれっ…病気なの…?」


「まだ分からないよ」


立ち上がった俺の胸に飛び込んで来た
微かに鼻をすする音がする

何て声をかければいいのか分からなくて、背中をさする
俺の不安が移らないように、大丈夫だよと安心させるように


五分ほどそうしていると、不意に大ちゃんが顔を上げた


「いのちゃんの手、安心する」


「そっか。良かった」


ふわっと笑った大ちゃんはいつもより少しだけ儚く見えた


「結果ね、今度でいいって言われたけど、次いつ来れるか分からないって言ったら一時間で結果出してくれるって」


「分かった。じゃあ、待ってようね」


「うん」


お互い吹っ切れたのかこの一時間はいつも通りの二人でいられた

くっだらない話で盛り上がっていた


『有岡さん、一番診察室までお願いします』


「いのちゃん…」


「大丈夫、一緒に行くよ」


「ありがとう」


どんな結果でも受け止める
そう胸に誓って不安を分け合うように手をつなぎ、二人で診察室のドアを開けた

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