失敗作ちゃんと神童くん。Ⅱ (ページ48)

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それぞれの幸せの在り方。ページ48

「空劫さん、ありがとうございました。」

「僕からも、ありがとうございました。」

『気にすんな！これが拙僧の役割でもあっからな。』

最近見た中で、こいつら2人はスッゲー幸せそうな顔をしてやがる。それは拙僧も嬉しかった。死んだやつらは大抵未練を残して、人間を怨みの目で睨みつけるが此奴らは違った。2人仲良く手ぇ繋いで。本当に幸せなんだな。

『お前らは幸せか？』

「「はい、勿論。」」

『そーかよ、なら良かった。偶には拙僧の寺にでも来い。いつでも代弁してやっからよ。』

「ありがとうございます。」

『さ、そろそろじゃねーのか？早く仏様のとこ行けや、怒られんぞ？』

「じゃあ、空劫さん、さようなら。」

そう言ってゆっくり消えて言った2人。今までで1番気持ちのいい別れだったかもしれねーな。

『さて、拙僧も行くかな』

通夜場を後にして寺に向かって歩き始めた。

『幸せになってくれや』

とっぷりとした闇の中に僧侶の一言が消えていった。

沢山食べることが幸せ。

寝ることが幸せ。

絵を描くことが幸せ。

家族といることが幸せ。

学べることが幸せ。

お金を稼ぐことが幸せ。

五体満足であることが幸せ。

喋れることが幸せ。

笑えることが幸せ。

大好きな人と一緒にこの世を離れることが幸せ。

幸せなんて人それぞれだ。