僕の。 ページ38
「どーおー？良い感じ？」
『うんっ！凄い可愛いっ！ありがとっ』
乱数に髪を２つに結んでもらう。黒髪に映えるピンク色。中王区の制服の袖に手を通し姿見で整える。くるっと回って変なところがないか確かめる。
「Aの制服って他の人たちのと少し違うね〜」
『あぁ、確かにそうだね〜』
乱数がそう言うのも分かる。基本中王区の制服は黒が中心になっていてピンクが気持ち入っている程度。見た目もスタイリッシュな形になっている。僕の制服は黒もそうだがピンクもそれなりに入っていて、スタイリッシュとは程遠いフリルが施されていて全体的にふわふわしている。中王区のピンバッチは襟元についていて自分では見えないが僕は背中に中王区の紋章が入っているらしい。準備も程々に終わった頃、乱数がひょいっと顔を覗かせる。
「じゃあ、行こっか！」
『うんっ！』
僕らは手を繋いで中王区へと歩き始めた。
『乙統女様、失礼します。』
「はいるよ〜♪」
「A、おはようござます。」
『おはようございます、乙統女様。』
「さぁ、無花果さんの所へ行きましょう。」
『はい。』
僕は乙統女様に続き無花果様のいる部屋へ向かった。
『失礼します。』
中に入ると何人もの局員。その中に合歓さんの姿も見つけた。
「A、これから大事な仕事をお前に任せる。やってくれるか？」
『えぇ、勿論。』
すると無花果様は何処からか縦長の箱を取り出して、開けるよう促して来た。
『えっ？これって…』
箱の中には…
「あぁ、マイクだ。」
「はぁっ？！マイク？！どう言うことだっ！」
無花果様の声に被せるようにして乱数が大声を出す。聞いたことがない低い声。
「どうもこうも無い。これは乙統女様直々の判断だ。飴村、お前には関係ない。」
「お前、Aの特性を知っててマイクを握らせるつもりかっ！」
「そうだと言っている。お前ら飴村を押さえろ！」
無花果様の一声で周りの局員に乱数が押さえつけられてしまう。
『乱数っ！！！無花果様、離してあげてくださいっ！』
「…離せ。」
解放された乱数に駆け寄る。
「駄目だっ！A。俺はお前を死なせたくない。頼むから…頼むからやめてくれっ」
苦しそうに嘆く乱数。
『でも…』
「わかった、Aの無理のない程度でマイクを握らせる。それなら良いだろう」
『無花果様っ…！』
「やってくれるな？A。」
『はいっ！』
『だって、乱数。だから大丈夫！』
「でもっ…」
『大丈夫だから』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
許（元はく） - めちゃくちゃ感動しました。今涙流してます（笑）途中ヤンデレみたいで怖いなって思ってたんですけど、ストーリー性とかもあってとても面白かったです。お疲れ様でした。 (2020年7月7日 0時) (
レス) id: 4d0b20ffc1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：音夜 | 作成日時：2020年5月4日 0時
