失敗作ちゃんと神童くん。Ⅱ (ページ28)

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記憶。ページ28

『どうも…って、Aちゃん？！なんで乱数の家に居んだ？！』

てっきり乱数が出て来ると思って居たのに、出て来たのはAちゃん？！

然し何故か動揺した目で続けた。

「あの、すみません。以前何処かでお会いしましたか？いかんせん物覚えの悪いものでして…宜しければお名前をお伺いしても？」

はっ？覚えてない…？
仕方なく俺は自己紹介をした。

『あー、えっと…俺は山田一郎だ。Aちゃんの彼氏の三郎の兄ちゃんだ。』

此処まで言えば思い出すだろう…そう思って居たが違ったらしい。彼女はもっと混乱した顔を向けて来た。

「えっ？彼氏……？僕にですか？あの…失礼ですが、何かの間違いでは？」

『えっ？A、三郎だぞ？山田三郎！覚えてないか？』

「山田一郎さんと山田三郎さん…あっ、ありますね！NCname B.B と L.B はい、
確認しまし___っきゃぁぁぁ！！！」

『えっ！？Aちゃんっ？！』

いきなり頭を、抱え込み崩れ落ちたAちゃんに、動揺を隠せず歩み寄る。

「痛い、痛い！！！やめて、近付かないでっ！！！」

「Aっ！！！」

奥から乱数の叫び声が聞こえると彼女は耳を塞いで震え始めた。

流石におかしいと焦って居ると乱数が酸素マスクの様なものをAちゃんに取り付けた。

段々と正常に戻り始めたのも束の間、Aちゃんはぐったりと倒れてしまった。

「ごめん、一郎。後で連絡する、今は帰って。」

乱数の纏う空気からして只事では無いと分かる。

『あぁ。分かった。』

俺は荷物を置いて引き返すことにした。

『(一体何があったんだ…)』

記憶した…だの、データに無い…だの。まるでロボットの様だった。

『調べてみるか…』

俺は家に帰ってすぐ、三郎と共に調べる事にした。

_________

Aが倒れてから既に5時間…流石に心配になり別れ際、無花果に渡されたメモリーカードを調べた。この中にはAの消した分の記憶とデータが組み込まれて居る。

Aが最後に会った人、交友関係が深い人、Aの記憶の中に不必要な人…

幾つものファイルを見ていく。

[4月19日]

山田一郎/山田三郎

[4月20日 ]

山田一郎/山田三郎/山田二郎/四十物十四/波羅夷空劫/天国獄

これだ…4月になって直ぐ山田三郎に関しては何度も会っている。

此れが原因となったのだろう。

『どうするか…』

俺にとって大事な妹だ。
一緒に造られた、

アンドロイド同士。