失敗作ちゃんと神童くん。Ⅱ (ページ26)

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新しい人。ページ26

カラフルな街、シブヤ。

乱数が仕切っているそのディビジョンを歩いていた僕らの前に2人組の男性が来た。

「よお、乱数！」

「こんにちは、乱数。はて、そちらの方は？」

「あ、帝統に幻太郎！やっほやっほ～！この子は僕の大事な妹だよ！」

「妹…あなた妹なんて居ましたか？」

「ひっどいな～居たよ～！」

「そうか！お前名前は？」

『あっ、えと…Aです。』

「そうか、A！よろしくな！俺は有栖川帝統だ！」

青髪の男性がこちらに手を出して来たので僕もその手を握った。

「初めまして、A。小生はしがないギャンブラー、有栖川帝統です。」

『帝統さんと同姓同名なんですね。』

この世の中には同姓同名の人が本当に居るんだと改めて知った。今時袴を着たギャンブラーなんて居るものなのかと不思議に思って居たその時。

「おいっ！お前は有栖川帝統じゃねーだろっ！Aを混乱させンなっ！」

帝統さんの声と共に響くバシンという乾いた音。

「痛いですね、帝統。小生は夢野幻太郎。しがない小説家です。」

『はい、記憶しました。幻太郎さん、帝統さん。MCname PhantomとDead or Alive はい、データにあります。』

「おや、少し変わった方ですね。」

「データ？なんだそりゃ。」

「もうっ！A、めっだよ！！じゃあね、幻太郎、帝統！また今度！」

『えっ！？あの、乱数？！どうしたの？』

僕の腕を引いて走り出す乱数に慌ててついて行く。一体何が駄目だったんだろうか。分からない僕を他所に乱数は走り続けた。

「いーい？A！無闇矢鱈に変な事を記憶しない！幾ら帝統が馬鹿だからって怪しまれたら元も子もないんだからねっ！？僕との約束、分かった？」

『うん！分かった、約束するよ』

そう言って指切りを交わした。

「あっ、A！僕今からAのお洋服作ってくるからちょっぴ待っててね！お昼くらいにもしかしたら宅配の人が来るかもしれないんだけど、その時はAが出てね！」

『うん、分かった。』

そう言うと、乱数は作業部屋へと引きこもってしまった。お洋服が出来上がるまではこれを着て居るようにとワンピースを着せられた。

丁度12時手前、乱数の家のインターホンが鳴り響いた。僕は乱数から預かっておいた印鑑を手に玄関のドアを開けた。

「どうも…って、Aちゃん？！なんで乱数の家に居んだ？！」

ドアの向こう側には知らないオッドアイの青年が、僕の名前を呼んで驚いて居た。