失敗作ちゃんと神童くん。Ⅱ (ページ22)

今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:26,268 hit

中王区。ページ22

十四side

目が覚めたのは外が少し明るくなり始めていた頃。

病室のには母さんも父さんもいて、不安げな目でAちゃんを見ていた。

何やら廊下が騒がしくなって来て、あの神宮寺さんの怒声まで聞こえて来て自然と体が強張る。

「直ちにAを連れ出せっ！！！」

「「「はっ！」」」

「やめろと言っているんだ！彼女はまだ不安定だ！！連れ出せばいつ悪化するかわからない状況なんですっ！」

自分は何が何だか分からず、立ち竦んでいた。

「無花果様っ」

母さんが慌てた様子で叫ぶ。

「至急中王区へAを連れて来いと乙統女様が仰っている。Aを此処に居させる訳にはいかない。」

『いくら星の体内名もなき王自治領の火の無き灰でも……わかってるんだろ？”切り札”な我が信組なる肉体の片鱗は渡さぬ。[いくら中王区の人達でも大事な妹は渡さないっす]』

「ふんっ下郎供にAは任せておけないからな。乙統女様の命令だ！」

何もできずにAちゃんを連れ去られてしまい、只々その場に崩れ落ちてしまう。

『Aちゃん、がっ…そ、そうだ…獄さんと、空劫さん、に、いわ、なきゃ…』

急いで電話を掛けた。

_________

Aside

『ん……？』

「あぁ、A。目が覚めたか？」

『あれ、無花果様…如何して…』

目が覚めると何故か無花果様が。それに私も何故か中王区の制服を来て居た。

「Aはやはり中王区に住まわせようと思ってな。乙統女様もそう言っている。」

『そう…ですか…』

「それにAにはまだやる事があるだろう？」

『…はい。』

「これからは頼むぞ。」

『分かりました。無花果様。』

再び私は無花果様の隣で目を閉じた。

まさか、またあの子に再会出来るなんて。