第３話 少年の質問 ページ4
.
「し…新一なら知ってるけど…どうしてコナン君が新一を知ってるの？」
「あ、ぼ、ボク、新一兄ちゃんとも仲が良いんだ。エヘヘ」
なんだか誤魔化したように笑うコナン君の妙な行動に、思わず眉を寄せてしまう。新一がどうかしたのかと私は問いかけた。
「あのね、新一兄ちゃんが…Aっていうお姉ちゃんに会ったら伝えて欲しいことがあるんだって…」
「新一が私に？」
どきりと胸が高鳴って、私は目の前にコナン君がいるにも関わらずあからさまに慌てた態度を取ってしまった。
「な…なんて言ってたの？ 新一…」
「あのね…」
コナン君が話そうとしてくれた時、不運にも私の携帯の着信音が響いた。間が悪いと思いつつ、携帯を取り出す。
表示されているのは、先輩の名だった。流石に無視するわけにはいかないなと、私は携帯を開いた。
「ごめんね…ちょっと待ってね」
「あ、うん…」
私は立ち上がって、携帯を耳に当てた。『もしもし？』と先輩の声がする。
「どうしました？」
『楠木、さっき知り合いから映画のチケットもらったんだけど…今度の日曜日観に行かねーか？』
「映画ですか？ うーんと…」
正直それほど仲のいい先輩でもないので、行く気は起きなかった。どう断ろうかと考えていると、先輩が冗談ぽく問いかけてきた。
『あぁ、もしかして工藤新一とデートでもするのか？』
「し、新一と！？ ち、違います！！」
『確か幼馴染で仲良いんだろ？ あれ、でも最近工藤新一って学校に……』
「新一はただの幼馴染です！ へ、変なこと言わないでください…！」
私はそのまま勢いで映画の誘いを断って、通話を切った。新一とデートなんて先輩が言ったせいで、妙な想像をしてしまって、なんだか顔が火照って仕方なかった。
「あ、ごめんコナン君…コナン君？」
携帯からコナン君に視線を戻すと、ジトリとした目つきで彼は私を見上げていて、ギョッとした。
「…さっきの人、学校の先輩？」
「う…うん」
「……本当に映画観に行かない？」
「うん、行かないよ。コナン君は映画連れて行ってほしかった？」
私の問いにううんと首を振ったコナン君は、そのまま私の手元の携帯をじっと見ていた。
「…電話、その人とよくするの？」
「まあまあね」と、よく質問する子だと思いつつ頷いてみせる。するとまたコナン君が尋ねてきた。
「……新一兄ちゃんにはかけないの？」
「新一に？」と私はうっかり聞き返してしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1877人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (
レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます！！！更新応援しています！！！シリーズ化大希望です！！！！！ (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか？ (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした！すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください！！♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ！"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
