第17話 依頼人 ページ18
*原作沿い有り
「今日私の家でアルバム見ようよ。ちょっとは不安も薄まるんじゃないかな」
私の家にはあまり思い出の写真がないのを知っていて、蘭はそう提案してくれたのだ。私はそんな彼女の優しさを嬉しく思い「うん」と深く頷いた。
「私は今日は難しいかなー…次郎吉おじ様が遊びにくるから」
園子はウインナーを食べながら、残念そうに呟いた。
「次郎吉おじさん…ってことは怪盗キッド絡み?」
「ううん、今回は別件で。あーあ、キッド様早く現れないかなー」
キッドが現れたら宝石を盗まれたりと大変なのに、そんな軽口を叩く園子は、さすが次郎吉おじさんの親戚だなと思える。
それにしても、アルバムには一体どんな写真が残ってるだろう。幼い蘭や園子達もたくさん載ってるだろうな、と想像して私は一人密かに頬を緩ませた。
アルバムは事務所に置いてあるのだと言う蘭の言葉に従って、私と蘭は二階の毛利探偵事務所に訪れた。中では小五郎おじさんがゆっくりと新聞を読んでいて、コナン君はまだ帰ってきていないようだった。
おじさんに断りを入れて、蘭と一緒に暫くアルバムを探していると、背後の扉が開く音がし、続いてコナン君の明るい声がした。
「おじさーんお客さんだよー! あ、A姉ちゃんきてたの?」
「コナン君、久しぶり」
コナン君の後ろにはセーラー服を着た少女が一人、緊張した面持ちで立ちつくしている。おじさんが彼女を中に招き入れた。
「私帰った方がいいんじゃ…」
依頼人が来てしまったなら仕事の邪魔になるだろう。そう思って蘭に耳打ちすると、それを聞いていたのか、足元にいたコナン君が「きっと大丈夫だよ」と明るい笑みを見せた。
米花高校一年生に通う赤木量子という名の彼女は、どこか上の空といった様子で、蘭が出したコーヒーにも手をつけずに何やら深く考え込んでいた。
「ご用件は?」と小五郎おじさんが尋ねると、彼女は「ある人を探して欲しい」と言い出した。
聞くところによると、その人は突然いなくなって、学校にも行っていないのだという。
「家出人みたいね…」と蘭がつぶやき、私もコナン君も頷いた。
「これが彼の写真です…」
赤木さんがおじさんにその人の写真を差し出すと、蘭とコナン君が覗き込みに行った。
そして、その写真を見て大声をあげたのだ。
「新一!?」
「え?」
蘭の叫んだその名に、私は面食らって数度目を瞬かせるのだった。
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FenGkaz710(プロフ) - 2章楽しみ (2020年6月16日 19時) (レス) id: 760679ded1 (このIDを非表示/違反報告)
琴葵(プロフ) - 面白すぎたのでシリーズ化していると思いました……。面白過ぎます!!!更新応援しています!!!シリーズ化大希望です!!!!! (2019年12月6日 3時) (レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
Akiko Tanei(プロフ) - 首を縦に触るのではなく、『振る』ではないですか? (2019年9月8日 11時) (レス) id: acbd1e9f39 (このIDを非表示/違反報告)
? ????? ?(プロフ) - 第1章おつかれさまでした!すごくすごく続き楽しみにしてるので更新早くして欲しいです(>_<) がんばってください!!♪ (2019年8月9日 1時) (レス) id: e7d5c65650 (このIDを非表示/違反報告)
ぽにー(プロフ) - 茅架さん» 作者様本人ではなくすいません。その文書は合っていますよ!"違わず"というのは"たがわず"と読み、間違わずと言う意味です。 (2019年8月1日 1時) (レス) id: 2d86003c92 (このIDを非表示/違反報告)
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