【名探偵コナン】 My Precious _ 2 【男主】 (ページ6)

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File：54￤試合当日￤主人公→香月side ページ6

「いよいよやなぁ…！」

兄さんと姉さんから届いた応援のメールに返信をして、やって来た大会会場。緊張した様子もなく、笑みを浮かべる神崎に頷いて、更衣室へと歩き出した。

「あ、あれじゃない？」

「お、ほんとだ。A～！」

弓道衣装へと着替えた後、声が聞こえて振り返れば、私服姿の香月と妹の香織ちゃんが立っていた。

道は聞いたけどな、と笑いながら答えた彼にそうかと頷く。観客席から応援してると言ってくれたふたりに再び頷いて、チームメイトの元へと戻った。

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「あ、崇人先輩居てはる。間に合うたんやな！」

「間に合うた、ってアンタ…なんで時間確認してへんのですか」

「煩いやっちゃなァ…ええやんか、別に」

A達のチームが入場して来る中、言い合いながらやって来た複数の団体。どうやら地元の高校生らしく、全員が制服を着ていた。( 崇人って…Aと同じチームの、)

「えっ、大岡紅葉さんだ……！」

同じように集団に目を向けた香織が人よりも胸の大きい茶髪の女の子を見ながら驚いたように目を見張る。知り合いかと尋ねれば、ふるふると首を横に振る。

「百人一首の高校生チャンピオンだよ。未来のかるたクイーン間違いなしって言われてる実力者」

競技かるた部に所属する香織としては憧れに位置する人なのだろう。話し掛けようか話し掛けまいかそわそわしていたけれど、名前がコールされた事で前を向いた。

「崇人先輩は大前か」

「大前？」

「先輩に聞いただけで詳しい事は分からへんけど、大前、中、落…言(ゆ)うてそれぞれ役割が有るんやて」

三人立ちの中で、大前はチームのトップバッター…所謂、切込隊長と言われる場所で。〝一本目を当てる〟と言う重要役割が有り、チームの中でも的中率の高いエース級の人が其処に立つ。

…携帯で調べたのか見ながらそう説明する彼の言葉を勝手に横で聞きながら納得する。

「てことは実力的には崇人先輩が一番なん？」

「いや、本人曰くそうでも無いらしいで。三番手に立つ、つまりは最後の落の榎本 Aさんちゅー人には色んな面で中々勝たれへん言(ゆ)うてたし」

「落って最後でしょ？相当プレッシャー掛かりそやな」

「らしいな。せやから、的中率が高くてチームに信頼されてる…＂この人が後ろにいたら大丈夫や＂って言う精神的支柱を兼ねてるチームも多いらしいで」

高校生集団の会話は俺と同じように耳に入っているのだろう。Aさんって本当に凄いんだね、と小さく呟いた香織に頷いた。

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