神の待望3 ページ4
あれから何年の月日が流れたのだろうか。
幼かったベジータも、もうずいぶんと大人になった。
ベジータが長期任務で不在の時、御義父様と二人で食事をとっていた。
その際に聞いたのだが、現在遂行中の任務から戻ってきたら、ベジータに王位を譲ろうという。
お前もサイヤ人の姫という立場ではなく、これからは王妃となるのだから一層気を引き締めるように、と。
孫の顔が早く見たいとも付け足された。
「子供、か」
最近、ラディッツに弟が生まれた。
家族ぐるみで親交のあった私は、よく赤ちゃん、たしかカカロットという名前だったか、を見に行っている。
私もベジータとの子供が欲しいと思っているのだ。
だが、これは大きな罪となる。
最高位に神である私の、いわば分身体を生み出すというのは、そう単純なことではない。
いくら半分は人間であっても、一体どのような力を持って生まれるのか想像もつかない。
この世とあの世のパワーバランスが崩れてしまう危険性すらあるのだ。
「ふふ、それでもいいかな。」
ベジータが帰ってくるまで、まだしばらくある。
この間に他の神々を説得しようではないか。
我が兄————大神官はいったい何というのだろうか。
全王はいつも私の行動に一切干渉しない。今回もそうなのだろう。
破壊神や界王神たちは苦い顔をするのであろうが、まず逆らえまい。
そうだ、第10宇宙の界王神見習いには黙っておかないと。
あの人間嫌いの耳に入ったら面倒くさい。
彼はこの私に臆面もなく意見してくる貴重な存在だ。
「よし、ベジータが戻ってくるまで、久々に仕事しますか」
魔界に行く前に予言魚にでも今後の予言をしてもらうべきだった。
おはよう。
おやすみ。
行ってらっしゃい。
おかえりなさい。
愛してるよ。
いつも通りのあいさつ。
そして抱きしめあってキスをする。
そんな日常はもう、戻ってこない。
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作者名:piace | 作成日時:2018年5月7日 22時