神に魅入られた宝石5(ザーボン) ページ14
風呂は音が反響していけない。
私に口付ける音が響くたびに脳が侵されていく。
A
私はお前が本当に…
『あぁ、ごめんなさい。夢中になっちゃった。流すね』
そっと額に手をのせ、顔にかからないように丁寧にシャワーで流していく。
『どうしたの?』
眼を閉じずに顔を覗き込んでいる私を不審に思ったのか、Aはシャワーを置きこちらを見る。
「いや、何でもない」
そう、とトリートメントを手に取り私の髪に馴染ませる。
それを上で一つに束ね、浴槽に浸かりながら浸透させる。
体が温まったころには美しい髪の出来上がりだ。
「二人で入るのならもう少し広くてもよかったんじゃないか?」
バスルーム自体はかなり広いのだが、それに比べるとバスタブは少々小さいように感じる。
一人で入るには十分すぎるのだがこうして二人でとなると、もう少しスペースがあってもいいように思う。
『これがいいの。ザーボン、脚伸ばしていいよ。膝にのせて?』
言われた通り彼女を膝に乗せ、抱きかかえるようにする。
せっかく体が見えない入浴剤を選んだというのに、これでは逆効果ではないか。
視覚情報が無い分、先ほど密着していたよりも鮮明にAの体を感じる。
今はそんなタイミングではないと頭では分かっていても、体は正直に反応してしまうのだ。
これだけでも羞恥が沸き起こるのに、これといった反応を返すことなく私の上でくつろぐAが私の顔を見る度に余計羞恥心が煽られる。
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作者名:piace | 作成日時:2018年5月7日 22時