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BALL35 ページ36
急に倒れてきてびっくりしたが、がっしり支える倉持。
｢あっ、おい大丈夫か？｣と御幸に顔を覗き込まれて、なんとなく安心する。
詰まりかけの息をゆっくり吐き出して、落ち着かせた。
一度近くのベンチに四人で座り、休む。
もうここまで来ては話すしかないか…。
一瞬の迷いがAの心に走る。
だけど、それを話すと きっと三人は野球部みんなに話してAを守ろうとするだろう。
それだけは、それだけは嫌だ。
これはあくまで自分の問題だし、仲間を作って守ろうなんて言う卑怯な手は使いたくない。
春｢A先輩、あの人は？｣
｢…ん、一年ん時つるんでた友達だよ。真希っつーの。｣
倉｢あの真希っつー女に会ってから鈴井息荒いぞ。｣
御｢大丈夫か？心做しか顔色も悪いし…。｣
｢大丈夫大丈夫。ちょっと久し振りに会ったから動揺しただけだよ。新学期によくあんじゃん？笑｣
春｢ほんとですか？本当に、それだけですか。｣
｢…それだけだよ。っでもちょっと気分悪いのは本当だし、今日は帰ってもいい？｣
御｢それはいいけどよ…。｣
そう言うと、Aはゆっくり立ち上がって とぼとぼバス停の所まで歩き始めた。
真希に会ってからどっと疲れが溜まった気がする。
ケリをつけなきゃいけないのはわかっているが、やっぱり怖いものは怖い。
もう｢あの時｣みたいな思いは、二度としたくない。
｢…っカッコ悪。｣
自分が一番よくわかっているのに。
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