21：変わらぬものなど有りはしない ページ26
.
｢きっと君は、私が云い訳を求めて居る様に見えたのだろう。
誤解させて悪かったね｣
｢ぐっ……！｣
吹き飛んだ時に頭を強く打ったらしく、芥川君は体がふらついて立てずに居た。
私は、階段に腰掛け様子を眺めた。
芥川君は治の部下だ。
どんなに治の教育が酷いものであろうと、関係の無い私が首を突っ込むべきでは無い。
否、本当は首を突っ込むべきなのかもしれないが私はそうする
流石に多少の注意はするが。
治には治なりの遣り方があり、責任は自ら彼の部下になった芥川君に有る。
耐えられないのなら、抜け出せば良い。
少しして、治の少し行き過ぎた説教が終わった。
私は階段から腰を上げ、治の傍へと歩み寄った。
彼の足元には、空
｢治、銃で打つのはやり過ぎよ。
もし防御に失敗したら如何するの｣
｢失敗したならそれで終わりさ。
マフィアでは此の程度は耐えられないと生きて行けない。
もし敵に捕まって拷問を受ける事になった時、簡単に情報を漏らされる訳にも行かないからね｣
治はそう云うと、芥川君の方へと視線を戻した。
芥川君は、ﾋﾞｸﾘと小さく肩を震わせた。
芥川君は銃弾を防ぐ為に異能の『羅生門』で空間の断絶を造り出したことにより、精神力を使い果たしていた。
｢次しくじったら、二回殴って五発打つ。
いいな｣
嗚呼、随分と変わってしまった。
昔はあんなにも暖かかった君の声は、氷の様に冷たくなってしまった。
私に向けられる言葉も、他とは違えど矢張り昔よりも冷たく感じる。
変わらぬものなど有りはしない。
分かっていたけれど、何と寂しいのだろう。
｢
死体を調べてみよう。何か出るかも知れない。
Aは織田作の処へ戻ってくれて良いよ｣
治は三人の部下に指示をし、私にそう微笑んだ。
『ええ、分かったわ。
でもその前に、芥川君に私も幾つか注意をさせて頂戴』
私が頷きそう云うと、芥川君は眉間に皺を寄せた。
｢……何故、関係の無い貴女にまで注意されなければならない｣
｢ちょっと、芥川君｣
ほんの少し怒った様な顔をした治を、私は手で制止した。
✄------------------------------✄
文字数の影響で次へ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 438人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
団子 - 面白いです!続きが気になります!頑張って下さい! (2017年11月10日 18時) (
レス) id: 565b1876f3 (このIDを非表示/違反報告)
味の素(プロフ) - 更新がんばってくださ〜い (2017年9月6日 17時) (レス) id: d5befd4dfc (このIDを非表示/違反報告)
Ｒ - めっちゃ面白い！続き期待ー！更新がんばれ！ (2017年8月19日 2時) (レス) id: 0a6b6d9361 (このIDを非表示/違反報告)
藤(プロフ) - 鑓さん» この話は『もしも』と私の『想像』の話ですので、原作とは別として考えて頂きたいです。もし原作で太宰さんを勧誘した人が出てきた場合も、別の話として読んで頂ければ幸いです。もし気分を害されたのならば申し訳有りません… (2017年2月14日 6時) (レス) id: c90b0030f9 (このIDを非表示/違反報告)
鑓 - あの、原作に太宰さんをマフィアに勧誘した人が出てきたらどうするんですか？まだ出てきませんが原作ではAの他にもう一人幹部がいる、という設定になってるので勧誘した人が出てくる可能性はそれなりに高いと思うんですけど。 (2017年2月14日 1時) (レス) id: afa2739a1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：藤 | 作成日時：2016年10月28日 10時
