【◇A】青心寮在住の引きこもり、その二。【逆ハー】

BALL75 ページ30

Aの発言に戸惑いを隠せない倉持。

開けたドアが返ってきて、ゴンッと倉持の頭にぶつかる。

｢ほら早く入んなよ。そこ寒いっしょ？｣と部屋の中から言われて、ようやく｢…あ、え…はい…。｣と返事をした。

ぼぉっ…としたままAの部屋に入る。


というかよくよく考えれば、相手はAと言えど”女の子の部屋”というやつで。

男を男だと認識していない猿みたいな女を女と思いたくはないが、結局 女ということに変わりはない。

一回意識し始めると、それは嫌という程付きまとうもの。

ダラダラと嫌な汗が流れてきた。



｢私マンガ多くてさー…って…あ？どうしたの倉持。｣

｢エッ、あー…いや…｣

｢……照れてんの？｣

｢ちっ、ちげぇよ！照れてなんかっ…｣

｢やーん！これだから倉持は可愛いなぁったくぅ！！見た目は怖いけど、中身はウブ春市といい勝負だよね！｣

｢ばっ…女子が飄々と抱きつくなっ！！｣

｢大丈夫大丈夫〜私当てるものも無いから。｣

｢そういう問題じゃっ…おわっ？！｣

｢っえ、うわっ…。｣



顔をにへらっと緩ませて 抱きついていたが、下に落ちていた都合のいいプリント用紙に足を滑らせﾄﾞﾀｰﾝｯ!!と転ぶ。

幸い後ろがベッドではなくクッションで助かった。

ベッドをそのままにしていたら、おそらく柱にぶつけて頭を怪我していたからだ。


…とはいえ、今の体勢が助かったとは言い難い体勢なのだが。









｢…あー、普通これ逆じゃね？｣


倉｢〜っ！！早くどけろや阿呆がっ！！｣


ｶﾞﾁｬｯ


沢｢……っあ、え、あぁぁ…あぁぁああ？！！！｣





朝から響く沢村の悲鳴と、

顔を真っ赤にした倉持の顔と、

｢…ちょっと面白いな。｣と楽しんでいるAの顔と。

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