【◇A】青心寮在住の引きこもり、その二。【逆ハー】

BALL74 ページ29

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はっ…と目を開ける。
気づけばもう太陽が天に昇っていた。

｢んぅっ…｣と小さく声を出しながら、目を擦って起き上がる。

ぼんやりとした頭の中、昨日あのまま寝てしまったことを思い出す。


倉庫に閉じこめられて、

沢村が助けに来てくれて、

ありがとうと抱きついて、

そのままベッドで寝てしまって…。


ぱっ…と時計を見ると、時計の針は朝5時だと示していた。
珍しく早起きしたらしい。


ぽけーっ…とした頭の中、顔を洗って制服に着替え外の空気を吸うために部屋から出る。

ちょっぴり冷たい朝の空気に、｢んーっ！｣と背を伸ばした。

すると、｢…あ？鈴井？｣と下から声が聞こえる。



｢よっ、倉持。｣

｢やっぱ鈴井かよ。今日は随分早起きだなお前。｣

｢昨日あのままガッツリ寝ちゃってね。起きたら朝だった。つーか倉持こそ…こんな朝早くからなにやってんの？｣

｢俺も何か早く起きちまってよ。何もやる事ねぇし、走ってこようかなと思ってた。｣

｢ふーん…あぁ、じゃあ暇なら私に付き合ってよ。｣

｢あ？あー…別にいいけどよ、何すんだ？｣

｢部屋の片付け。｣

｢スゲェ雑用。｣



そう言いながらも、階段を登って来てくれる倉持。


本当にいつも思うが、なんであの性格難アリ眼鏡の方がモテるのだろうか。

やっぱり元ヤンというのは女子にはハードルが高いのだろうか。

でも好きな食べ物はオムライスというギャップ持ちのイケメンだ。

モテておかしくないだろうに。


とは言え、倉持がモテるとA的には寂しい。

倉持は、ずっとモテないAだけの倉持でいて欲しい。









｢倉持ぃー…。｣


｢何？｣


｢倉持は、私だけの倉持で居てね。｣


｢………っは…？｣




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