【◇A】青心寮在住の引きこもり、その二。【逆ハー】

BALL60 ページ15

すぅ…すぅ…と規則正しい寝息を立てて、彼女は寝ている。
日差しがカーテンの合間から入ってきていた。

嫌がるように｢んぅっ…｣と呻き声を出し、ベッドの端っこに寄る。

だが一度睡眠を妨害されると、目が冴えてしまうのが人間の性。
二度寝するのもなんだか嫌だし、仕方なく体を起き上がらせる。

意識がぽわぽわする中、｢くぁっ…｣と大きな欠伸をする。

時計を見ると、既に10時を指していた。


随分寝たな…と思いながら、二段ベッドから降りた。

顔を洗おうと鏡の前に経つと、片方だけ髪がジョキリと切られてる事に気づく。

そういえば昨日、切られたんだっけ。

確か昨日の内のプランでは、朝 美容室を予約して行く予定だったはずだ。
すっかり忘れていた。

スマホを片手に｢今からでもいけっかなー…｣と電話番号を押す。

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・

美容室は、思いの外 空いているらしい。
平日だし、確かに土日ほどは混まないだろう。

早速予約を入れてもらい、準備をする。

多分お店に入ったら、この髪を見て驚かれるだろう。
その後、気まずく｢どうされたんですか…？｣と聞かれるのだ。

予想がつく。

街中でこの髪型で歩くのも目立つし、手間はかかるが オシャレに見えるようピンで留める。

TPOはしっかり守らねばならない。
常識である。









｢さーてと…可愛い髪型になれるっかなー…。｣





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