【◇A】青心寮在住の引きこもり、その二。【逆ハー】

BALL58 ページ13

だんだんと頭も落ち着いてきて、ようやく一息つける。
沢村のオーバーワークも止められたし、そう考えると良かったのかもなんて思えてくる。

｢鈴井もあんま無茶すんじゃねぇよ。｣と右斜め向かいにいる御幸にどやされる。

買ってきてもらった缶ジュースを飲みながら、御幸の声に耳を傾けた。


｢無茶も何も。沢村が怪我したらと大変じゃん。｣

御｢それはお前も一緒だろ。｣

｢そりゃ私が怪我したらあんた達は悲しんでくれるかもしんないけど。リスク的には私の方が少ない。｣

御｢そういう問題じゃねぇし…。大体、鈴井はっ…｣


そう言いかける御幸に、Aが｢ねぇさ。｣と遮る。


御幸の話は全く頭に入れていないAだったが、唯一引っかかることが会話の中で見つかった。

｢鈴井｣という名前の呼び方だ。


一年生達は、みんな｢A先輩｣と呼んでくる。
三年生達も、｢A。｣だったり 時々｢鈴井｣だったり。

だが同級生の二年コンビ御幸倉持には、名前で呼んでもらえていない。



｢ねぇちょっと！倉持！私の事呼んで。｣

倉｢は？え、鈴井？｣

｢ほら。え、なんで二人って私の事苗字で呼ぶの？｣

御｢あ、あー…確かに。｣

沢｢そういえばそうですね…俺はA先輩って呼んでるからあれですけど。｣

春｢俺も兄貴とか栄純くんがAって呼んでたから、普通に言ってました…。｣

｢春市の急な呼び捨てに胸騒ぎが止まらない。｣

倉｢お前たまにやばいよな。｣

｢いーから名前で呼べよー。水くせーな。｣



口をつんっと尖らせる。
ブーブーとブーイングの嵐をA1人で巻き起こす。









御｢…え、じゃあ、…A？｣


倉｢Aー…って、ヒャハッ…気持ち悪くね…？｣


｢待って予想以上にいい声してやがるこいつら。｣





CV.櫻井孝宏と CV.浅沼晋太郎の声は、
不覚にもキュンとしてしまう。


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