【d!】悪役令嬢舐めんなよ。 (ページ5)

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｢すっご、……｣

見れば見る程のめり込んで行くオタク心を今は殴りたい。

綺麗に整った木や草に、外観すら綺麗な学園。
噴水の縁には青く小さな鳥が鈴が鳴っているように鳴いている。何よりご機嫌よう、と挨拶をし合う令嬢達がその場の雰囲気を作り上げている。

shp｢何突っ立ってんスか。行きますよ。｣

目を輝かせて見惚れる私には目も暮れずスルーをするかのように横を通り過ぎる。
執事としての仕事を本当に分かっているのだろうか。

｢ちょ、待ってよ、｣

横を通り過ぎた彼の背中を一応上品な仕草で追いかけて回り、やっと着いた体育館のような場所。

shp｢ハイ、着きましたよ。お嬢様は俺の横に居て下さいね。直ぐ迷いそうなんで。｣

｢しれっとディスりやがるわねこの執事。｣

そうディスってくる彼を白い目で見ながら新入生が座る席へと静かに座った。
……今の所ヒロインらしき影は見れていないが、

『新入生の諸君。』

その時。館内に声が響く。
低く、其れでいて魅力的な声は全女子を惑わす。
その声を聞いた令嬢達は黄色い声をあげながら手を振ったりしている。

shp｢……うるっさ、｣

ショッピは眉間に皺を寄せながら、耳を押さえるようにして手で塞ぐ。
その間私には耳栓を渡してくれて。何故耳栓を持っているかは知らないが好意に甘えて着けさせて貰った。

館内に響き渡る黄色い声はある程度遮られるが、マイクで喋られている声は十分程ではないが遮られなくて耳を傾ける。

『────、─────！！！！』

耳を傾けた、が……
やはりハッキリとは聞こえず聞く事を断念した。
その間暇なのでステージ上を見回してみると思った通り攻略対象達が集まっていた。

腕を組んで仁王立ちする者、面を被って大人しく立っている者、へらへらと笑いながら見下すように令嬢を見る者、様々なキャラがいる。

正直オタク心が爆発しそうだったが何とか耐えた。

『─、───────。』

話が終わったのかマイクの位置を微調整し、会釈をして奥へと戻っていく。
ステージの上に立っていた攻略対象達も歩いて後ろを着いていった。

入学式はそのまま無事に終わり、ヒロインも見付けられないままだ。

｢此れからどうなる事やら……｣

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