聞こえるか?護るべき者の叫びが! ページ6
夜のビル街で、一人の男が蹲っている。
――この先へは行くな。二つ向うの通りから行け。
「……黙れ、黙れ!この道が取引相手と会う最短経路だろう!お前の云う事は『冴えたやり方』だろうが、私はその他の可能性を選ぶ!」
彼は脳内で響く声を振り払うように頭を振った。
そして、長髪を靡かせながら路地へと入っていく。
「……お前は!」
男は一人の女性、H・G・ウェルズと遭遇した。
どうも、彼女が今回の取引相手の様だ。
「ウェルズ……国際手配されていたとは知っていたが、まさか貴方とこうして会うとは……」
――品を置いて早く去れ。この女とあまり話すな。
「……ッ」
長髪の男は頭を押さえた。
すると、その仕草を見たウェルズははっとした顔で口を開く。
「君はもしかして、アリス……アリス・ブラッドリーじゃないか!?」
「……誰だ?そんな女の事は聞いたことがない」
「そんな筈はない。アリスは異能の声が聞こえると、今みたいに左手で頭を押さえる癖があった。君はアリスだろう?」
「あのな、私はジェイムズ・ティプトリー・Jrだ。そもそも、私は男だぞ?」
「性別なんて、今の時代なら簡単に偽装できる」
徐にウェルズがティプトリーに手を伸ばした。
――触れてはいけない。早く逃げるんだ!
「……煩いな!」
ティプトリーは異能の声に導かれるままに、その場から走り去っていった。
「……しまった、渡す手筈だった品が未だある!」
――あちらへ投げると良い。
声は今来た通りを示していた。ティプトリーの目の前、丁度通りとは逆の方には大きな川が。
そこで、ティプトリーは荷物を川の中へ投げ込んでみた。
「えい。……はははっ、なんだか妙にすっきりした!」
――もう、この地域には居られないな。
「ふぅん、で、お勧めの行先は?」
今なら何処へだって行ける。
かつては彼女、と呼ばれた彼は、そう確信していた。
幕間小咄「たった一つの冴えたやり方」→←幕間小咄「サンドリヨン」
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零奈 - すみません、リクエストなのですがいいですか?朝井リョウさんと渡辺優さんをお願いします。朝井リョウさんは、鏡華ちゃんと絡ませて欲しいです。注文が細かくて申し訳ないのですが、どうかよろしくお願いします。 (2018年11月24日 19時) (レス) id: 92c720ec2f (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - リクエストにお答え頂きありがとうございました。わがまますみません。リクエストで,ビアトリクス・ポター先生の「ピーター・ラビット」で,兎の異能生命体を操る幼女は大丈夫でしょうか....?出来れば鏡花ちゃんと絡ませて頂けると有難いです。 (2018年10月9日 21時) (レス) id: 99648b5759 (このIDを非表示/違反報告)
ただの本好き(プロフ) - 説明有難うございます!成る程、確かにもっと様々な世界があっても良いですよね・・・私は七人とも好きですが、組合の人ならフィッツさんが結構面白くて好きです。 (2018年10月7日 19時) (レス) id: 1d708256dc (このIDを非表示/違反報告)
双白 - すみません、誤字ってました。設定は鏡花ちゃんと14歳で特務科所属、性格は某刀剣擬人化ゲームの虎を連れているショタに似た感じでお願いします。 (2018年10月7日 18時) (レス) id: fbe41339ea (このIDを非表示/違反報告)
双白 - 元・双代です。リクエストさせてください。織守きょうやさんを「記憶屋」でお願い致しますします。 (2018年10月7日 18時) (レス) id: fbe41339ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年9月18日 22時