高潔なる血の犯した過ち ページ46
すん、と敦の鼻が動いた。
「……血の匂いだ」
ポートマフィアの力の強いヨコハマでは血の匂いがすることは珍しくないが、今回はその匂いが一段と強い。
敦は気になって、匂いのもとへと駆けて行った。
「……！」
路地裏の袋小路で敦が見たのは、辺り一面に広がる血の海と、地面に転げた真っ赤な肉塊。
そして、真ん中には血塗れの少女が倒れていた。
「非道い……一体、如何してここまで……」
敦が少女に手を触れようとすると、周囲で何かが蠢いた。
見回すと、広がっていた血液が一点へ集まってきている。
「……これは、異能力！？」
敦は即座に離れ、構えたまま息をひそめる。
その間にも血液は凝縮を続け、やがて血の海は消え去り人の形へと変貌していく。そして、軍服を着た美男子となった。軍服の赤いマントの一端が少女の腕の傷に繋がっている。
「お前は何者だ！一体、何をしたんだ！」
敦の問いに、男は心此処に在らずといった風に返す。
「……『頭で間違う事はあっても、血は間違えない』のであれば、間違った手段で生まれた血が為すことは、一体どうなるのだろうな？」
「……？」
敦の虎化させていた手が人間の形に戻る。
男は腰に下げていた軍刀を抜いたが、それで敦に切りかかるようなことはしなかった。
「少年よ、俺とこの憐れな少女の身の上話を聞いてはくれまいか」
「……貴方達は、ほんとうに何者なんですか？」
「俺はスタンダール。嘗て、戦場で不屈の神兵と呼ばれていた。そして、彼女は俺の代用品として戦場に立たされる筈だった、人工異能者だ」
「人工異能者？」
敦は首をかしげる。
「異能の継承は可能だと聞いたことがあるけど……」
「俺の異能力『赤と黒』は血液操作の異能だ。俺の血が一滴でも混ざれば、どんな液体でも操れる。血液を媒介にした身体操作だとか……そうそう、ドニの提案で、輸血パックを使って一旅団壊滅させたこともあったな」
スタンダールは哀しげな眼で語る。
「異能者の血を得れば、その異能を部分的に扱えるようになる――つまるところ、俺の異能はあまりにも強すぎた。俺を失うまいと、政府は俺の複製品を作ったんだ。そして、そのうちの一人が、俺を宿しているこの子、マリーだ」
「じゃ、じゃあ、貴方は今、その子を操って……？」
「ある意味ではそうかもな。だが、今の俺はあくまでもマリーの異能だ。オリジナルの俺は、当の昔に死んでいる……もう少しだけ、話を続けても良いか？」
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Unknown X - ありがとうございます♪楽しみにしてますね♪ (2018年11月18日 20時) (
レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - Unknown Xさん» こちらはもうお話が一杯なので続編のほうに書くことになりますが、よろしいでしょうか？ (2018年11月14日 17時) (レス) id: acfd73fd70 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown X - リクエストいいですか？谷川俊太郎さんをお願いしたいのですが… (2018年11月14日 16時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - イツキ108さん» わかりました！構成の都合上、続編にて書かせて頂くことになりますが、ご了承ください。 (2018年9月18日 18時) (レス) id: 1feef1598f (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - キューブさん» 返信遅れてすみません。ありがとうございます！リクエストで、萩原朔太郎先生で,芥川さんと登場させて頂けないでしょうか...?異能は出来れば敦君に似た獣化系でよろしくお願いいたします。わがままですみません....! (2018年9月17日 23時) (レス) id: 4a38a1604c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：キューブ | 作者ホームページ：
作成日時：2018年7月4日 22時
