３ ページ4
成蘭女子、そこはスケバンが多いことで有名な女子校だった。
その校門の前でソワソワと誰かを待つ長身の男はとても目立った。
門から出る女達は皆ヒソヒソと話し、怪訝な顔をするのだが全くそれに気がつかないAは目があった女子の元へ駆け寄ると緊張気味に話しかけた
「あの、早川京子さんはいらっしゃいますか？」
「京子さんになんか用っすか」
「はい！ぜひお会いしたいと思いまして！」
あまりに低姿勢、尚且つ大きな声に若干戸惑うスケバンは悩んだ。以前に京子を狙ってやってきたツッパリがいたから警戒しているのだが、どうやら彼はその類ではないらしいという事はわかった。
しかし会わせていいものか、どう見ても京子にほの字だろうその顔を見てさらに頭を抱える。
京子さんは断るだろう、そしたらまたツッパリが学校を狙ってやってくるのかと。
「…やっぱり連絡なしはマズイですよね。俺Aっていいます、もし準備できたら電話ください！ずっと待ってます！」
いつの間に用意したのか、ポケットから紙を取り出すとそれをスケバンへ押し付けたAは顔を真っ赤にしながら早足で立ち去った。
「ちょっ！どこ行くんすか…」
渡された紙を開くと中にはとてもじゃないが綺麗なんて言えない字で電話番号と名前が記されており、一言電話待ってますと書かれているだけだった。
(果たし状ではないか…)
どうしたもんかと紙とにらめっこしていると、自分を呼ぶ声に振り返る。
艶々の黒髪、透き通るように白い肌、そして少し小さな身長
「京子さん」
「明美なんで先に行ったんだ？」
拗ねたように怒る京子は誰もが振り返る程の美人だ。そんな彼女から自身の鞄を受け取りながら先ほどのことを思い返す明美は正直に話すことを決めた
「さっき変な奴が門の前に立ってたんで気になって声かけてたんすよ」
「ふぅん、それで？」
「京子さんにらしいっす」
連絡先の書かれた紙を渡すと、まじまじとそれを読んで笑う
「どんな奴だった？」
「そうっすね…」
大きな声とは不釣り合いなほど緊張していた顔
時々噛んだり裏返っていた声はなんとなく
「馬鹿っぽい感じ…っすかね」
「なんだそれ」
クスクスと笑った京子は電話番号を復唱し、後でかけてやるかと呟いた。どうやら興味を持ったらしい
でも本当に馬鹿っぽい奴だったな、と明美は1人思い返すのだった
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 73人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ハイキュー大好き！！(プロフ) - めっちゃ続きが気になります！！更新楽しみにしてます！！ (2021年3月2日 7時) (
レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
奏菜(プロフ) - とても好きです！続きめちゃくちゃ楽しみにしてます！！ (2020年8月13日 7時) (レス) id: acc6cf3fa0 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - 斬新な設定に最初は驚きましたが、すぐに物語に引き込まれてしまいました！2人はどうなるのでしょう、結ばれるのでしょうか…！続きが楽しみです！ (2020年8月9日 17時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 伊藤くんと主人公がどうなるか気になります！！ (2020年8月7日 23時) (レス) id: baa397239c (このIDを非表示/違反報告)
アホ犬 - うわぁめっちゃ好きです！！続き楽しみです！ (2020年8月7日 1時) (レス) id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年11月11日 17時
