百四十二話 ページ26
杏子「さき、ききょう、あき、なつき」
「忘れてしまっているのであれば、私達も」
「うん。流石に、忘れたままなのはね。記憶のない私達からしても、辛いよ」
「わ、私も、このまま忘れられたままは、嫌、です」
「杏子。覚えていないのであれば言うわ。
私は骨喰藤四郎の刀剣女士の 楓よ」
「忘れたのであれば、何度だって教えてあげますよ。
私は鯰尾十四郎の刀剣女士の 菫ですから！」
「いつも、守られて、ばかりな、私、ですけど。やるときは、やりますよ。だって、
私は堀川国広の刀剣女士の 風香なのだから」
杏子「かえで、すみれ、ふうか」
「まったく。どうしたら、今の貴方ができあがるというのか」
「うん。正直に言うと、私も、今の杏子は嫌だよ」
杏子「・・・・」
「あぁ〜！そんな不思議そうな顔でこちらを見ないで！忘れたのなら忘れたと言いなさい！
私はへし切長谷部の刀剣女士の 蘭よ！」
「私は山姥切国広の刀剣女士の 葵だ
杏子。私だって、話しぐらいならいつだって聞いてあげられる。愚痴だって聞くよ。だから、一人で抱え込まないで」
杏子「らん、あおい」
「ﾌﾌﾌｯ、皆、杏子への思いは同じと言った所だな。なぁ、杏子」
杏子「？」
「おや、もしや私のことまで忘れているのか？ふむ。なら、私も名乗ろう。
私は、三日月宗近の刀剣女士の 美月だ」
杏子「み、づき、さん？」
美月「杏子。お前が私達のために必死になって動いてくれている。それについては、私達は何も言うまい。
実際の所、お前のおかげで助かっていることもあるしな。だがな？杏子。だからと言って、お前が犠牲になっていい理由にはならないのだぞ。
お前は確かに私達の中では一番の古株ではある。でも、それがどうした？古株だからどうとでもなると？ﾌﾌｯ、おかしなことを言うなぁ。
流石の私も、怒らずにはいられんわ」
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