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「飲まへんの？」
枢機卿様が促す。
綺麗な透明な茶色に白い簡素なティーカップ。いつもなら喜んでこれを大事に飲むが、今回ばかりはカップに手が伸びなかった。
しかし、枢機卿様は私のその様子を一切構わないで座ったまま、聖母マリアが描かれたステンドグラスを見つめていた。
「私、大好きです」
こんな簡単な文を言うのにどれ程緊張しただろうか。
私は、貴方が偽善者だったとしても、貴方の全てを受け入れるつもりだ。
貴方に救われた命だ。生殺与奪の権は貴方にある。生かすも殺すも貴方の勝手で私には関係のない事だ。そして、貴方が私に秘密にしていることもきっと私には関係のない事だ。
しかし、どこまで強欲になったのだろう。貴方の秘密を知りたくなってしまった。それを知ってどうこうしようという訳ではない。脅しに使うわけでも弱味を握りたい訳でもない。
私はただ知りたいのだ。単なる知識欲から来るものでも野次馬根性から来るものでもない。ではどこから沸き上がるものなのか、と問われると言葉に詰まってしまう。
紅茶に明けの明星が映る。
人の罪は御子が十字架にかけられたことによって赦された。茨の王と罵られ、その血をながした御子の気持ちは計り知れない。
私も赦されたはずだった。しかし、今日この日、罪を重ねようとしている。
真実を神に告げれば､それは枢機卿様を裏切ることになる。反対に、告げなければ神を裏切ることになる。どちらとも罪を重ねることになるのだ。どっちを選択しても私は偽善者に成り下がる。
知識を付けてしまった仔羊は善悪の判断が出来る。私は馬鹿を装うことも命乞いをすることも出来る。けれど、私はどちらもしなかった。
私が放った空気には善も悪も、信仰も自由もない。私はきっと枢機卿様と一緒に地獄へ落とされるだろう。
「知ってるよ」
出鱈目な文法に対し、枢機卿様は淡泊に仰られた。
「その紅茶飲んじゃダメだからね」
私は今日、罪を犯した。
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マンちゃんの神様を利用してる感を出したかった。異世界更新ガン待ちしてます(瞳孔ガン開き)
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コットンの森(プロフ) - トクメイキボウさん» 嬉しいお言葉に心臓がぎゅっとなりました。純粋に嬉しくて何回もコメントを見返しちゃいます。無い文才を捻り出した甲斐がありました。短編は長編が終わり次第再開が出来ればと思っています。お読み頂き、そしてコメントありがとうございました！ (2019年3月31日 17時) (
レス) id: c3504fefeb (このIDを非表示/違反報告)
トクメイキボウ - コメント失礼します。完結おめでとうございます。実は貴方様の作品を以前から拝読させていただいておりました。貴方様の創る世界観が大好きです。短編集が終わるのは悲しいですが、長編の方も引き続き応援させていただきます。頑張ってください。コメント失礼しました。 (2019年3月31日 16時) (レス) id: 9fdc769b3d (このIDを非表示/違反報告)
コットンの森(プロフ) - パピヨンloveさん» しばらくログインしていなくて今しがた気づきました…。返信遅くなって申し訳ありません。題名は｢かくかくのさいじょ｣と読みます。赫赫で赤々と光輝く様や、業績や名声が輝かしく現れる様などの意味があります。個人的にそういう女性が好きなので題名につけました。 (2019年3月10日 12時) (レス) id: c3504fefeb (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - 読んでいて、凄いと思いました！！これからも頑張って下さい！！ちなみに、題名ってなんて読むのでしょうか？ (2019年2月16日 14時) (レス) id: d07448dafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コットンの森 | 作成日時：2018年9月20日 0時
