【Connect.】Disconnect. (ページ9)

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「えーっと、どれどれ……。わお、一文字だけ、『力』と書いてあるわ」
　「これまた随分どストレートだな」

　コンテクストが最初に取り出した紙に書いてあった文字は、その願いに違わず力強い文字で書かれた『力』だった。それ以外書いていない。シンプルだなあ、と感想が漏れ出た。

　「文脈的には力がほしいってわけだよな？これコニーのほうが向いてるだろ。いつもフィンセント振り回してるわけだし」
　「自分でやるのと他人に力をつけさせるのは別物よ！？むしろ優しいイッカクくんのほうが教えるのに向いてるんじゃない！？」

　コンテクストは叫んで猛抗議した。イッカクはそれはないと首を横に振る。二人共、力を与えるには不向きだった。

　「まあ、あれだな。俺らは『力がほしいか……？』とか喋るラスボスじゃないんだし。これは保留だ、保留。また今度、いつかだ」
　「うんうん。それに、力っていうのは自分で手に入れてこそよね」

　サンタクロースが何を言う、とツッコむ者はここにはいない。元々、コネクティション・エネジェスクィックはツッコミ役が不在なことで定評がある。イッカクはその紙を丁寧に畳んでコタツの上に置いた。コンテクストは箱から次の紙を取り出した。

　「えーと、次は……あら、さっきより長いわ。『可愛いガールがオレっちのナンパにノってくれますよ〜にっ！』ですって」
　「なんだ、俺らは人体錬成でもすりゃ良いのか？」

　イッカクは呆れた顔で言った。普通にノリのいいガールを引っ張ってくるという発想はない。ついでにそんな知り合いもいない。
　さっきの願い事から一転、随分長い文だ。長い文の割には言っていることが淋しいものな気がする。長い文だからこそ、淋しいのかもしれない。

　「というかこれってサンタさんに頼むことじゃねえだろ。こんなの七夕だ、七夕。彦星と織姫に頼みやがれ」
　「……そういえばワタシ、別にサンタクロースって指定してないかもしれないわ。ただ単にお願いごとを書いてって言ったかも」
　「えっ、だとしたら趣旨が崩壊するじゃん」

　コンテクストは持っている紙を先ほどイッカクが下のと同じように畳んで、コタツの上に置いた。そして、慌てて次の紙を引っ張り出す。イッカクも、流石に気になると言わんばかりに覗き込んだ。体はコタツからは出ていない。随分器用なものだ。