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「えーと、これは……割と綺麗な字ね。『新品の裁縫道具一式が欲しいです』って。やっとワタシに出来るのが来たわ！」
「学生の時にも買ったしな、俺も覚えてる」
二人はガッツポーズをした。下がりかけだった自己肯定感も戻ってくる。
イッカクはナマコフォンを取り出して、『裁縫道具 値段』と調べた。金色のスプラシューターに比べれば、お手頃すぎる価格だ。ここに表示されている中で、一番高いの買おうと思った。金色のスプラシューターを買えないことへの贖罪だ。贈る人は違うのだろうけど。
そこで、イッカクはとある事に気がついた。
「なあ、今気づいたけど、この紙名前書いてないじゃん。誰に贈れば良いのか分からなくね？」
「あ」
コンテクストは驚愕の声を出した。
そういえば、今までの願い事すべてに名前は書いていなかった。試しに二人で残りの紙も見てみるが、一つも名前を書いてある紙はない。どう考えても、置いてあった紙に名前を書く欄を用意していないコンテクストが悪かった。
「ま、まあ、前にやったProject参加者へのインタビューのログあるし？ そのログにある趣味とかを参照して、プレゼントすれば問題ないんじゃないかしら？」
「でも万が一違ったら怖ぇだろ」
「それはそうよねぇ……」
違ったときに悲惨という言葉は済ませられない。朝起きたら、頼んだ覚えも欲しいと思った覚えもない物品があるというのは、もはや新手のホラーだ。
コンテクストは焦った。流石に今までの努力(と言えるほどでもないもの)が水の泡になるのは嫌だからだ。頭を働かせて思いついた言葉を投げる。
「……だったら、筆跡から割り出すとか出来ないかしら？ まあワタシたち、彼らの筆跡を知らないけど……今から応募時に使ってもらった書類とかをひっくり返して分析してみる？」
「どう考えても今からじゃ間に合わないな、それ」
「だよねー」
コタツの上に並べられた叶えられそうもない願い事たちを前に、二人はため息をついた。
どうやら、アイドルはサンタになれないらしい。
＿＿＿
碧空です、リレー小説でははじめまして。よろしくお願いします。
今日はクリスマスということで、アイドルズメインのお話を書かせていただきました。とても楽しかったです。あと長くなってしまって申し訳ないです。
誰がどの願い事なのか？というのは皆様のご想像におまかせします。ぶっちゃけ私も決めてないです。
執筆に至りましては、イカのタコ焼きさんのイッカクくんをお借りしました。この場を借りてお礼を申し上げます。
ラッキーメンバー
アミル
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