解体できない代物 【松田陣平】

CASE:05 物騒な頼み事。 ページ7

萩原「そんじゃまぁ…。喋ってる間に取り違えた書類も戻ってきたし、爆処に戻るね。…Aちゃん、今からは"仕事仲間"だから堂々としてな。連絡先の登録名、変えてもいいよ。」

そう言い残して、萩原先輩と新人隊員の男性は爆処へと戻っていった。

ちなみに、新人隊員さんとぶつかったのは…三池苗子(みいけなえこ)ちゃんだったようだ。

彼らが出ていったのを合図に、私は自席に戻り…さっそく登録名を［お兄ちゃんの親友］から［萩原研二先輩］に変えて、メッセージを送った。

――――
先ほどは、私の気持ちを代わりに伝えていただき
ありがとうございました。
先ほどお聞きしたかったことです。
・松田先輩はお元気ですか？
・爆弾の偽物(レプリカ)、作って下さいませんか？(解体の練習用に)
腕、鈍らせたくないので。
難しい頼み事だとは思っていますが
何卒よろしくお願いします。 A
――――

時間にして、30秒から１分ぐらいだろうか…。萩原先輩から返信が来た。

――――
偽物(レプリカ)を作れ"とは…
また随分と"物騒なお願い"だねぇ。(笑)
そりゃぁ、宮もっちゃんの前では言えないわな。(笑)
Aちゃんが警察に入ってきた理由は…
やっぱり"司(つかさ)兄ちゃんの敵討ち"だったってわけだ。
本音は「そんな危ないことに首突っ込まないで」って
言いたいけど…止めてもやるよね、きっと。
"腕、鈍らせたくないので"ときたか。
そこまで言うなら…わかった、引き受けるよ。
ちなみに、そう言うからには理工学の基礎知識はあるね？

“じんぺーちゃん”ね、２ヶ月前に会った時は
いつもと変わらず元気だったよ。
３年前から捜査一課だから、毎日会うことはなくなったけどね。
Aちゃんの“じんぺーちゃん”への気持ちって…
"憧れ"じゃないよね、自覚してる？
実ることを祈ってるよ。恋の相談もいつでもしてきな。
Aちゃんのヒーロー 萩原より
――――

理工の基礎知識、そりゃぁ…ありますよ。

えっ…。松田先輩、今は爆処じゃなくて捜一(そういち)なの！？気づかなかったな…。

それにしても、さすが“警視庁一のモテ男”って名高い萩原先輩。
こういうことサラっと言えちゃうんですね。

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